大阪龍馬会

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鞆の浦、埋め立て差し止め 「景観利益に損害」/広島地裁判決

2009-10-04 00:01:00 | 幕末ニュース
◆ポニョの「舞台」

 万葉集に詠まれた景勝地で、映画「崖(がけ)の上のポニョ」の舞台になったとされる広島県福山市の鞆(とも)の浦で、県と市が進める埋め立て・架橋事業をめぐり、反対する住民ら159人が県知事を相手取り、埋め立て免許の交付の差し止めを求めた訴訟の判決が1日、広島地裁であった。能勢顕男裁判長は「鞆の浦は国民の財産で、免許が交付されれば、住民が日常的に恩恵を受けている景観利益について重大な損害が生じる恐れがある。免許の交付は裁量権を逸脱している」として、原告の主張を全面的に認め、知事に免許を交付しないよう命じた。

 改正行政事件訴訟法に基づき、景観利益を理由に公共事業が事前に差し止められるのは初めてで、開発と景観保護のあり方に影響を与えそうだ。

 判決で、能勢裁判長はまず、原告適格について判断。鞆の浦の住民は、歴史的・文化的価値を有する景観の恩恵を受けており、法律上の利益を有していると認定。「免許が交付されれば景観利益について、重大な損害を生ずる恐れがある」と述べた。

 また、埋め立て免許の交付は、瀬戸内海の景観保全を定めた瀬戸内法に照らしても、「裁量権を逸脱した違法な行為にあたる」と指摘。「架橋が完成すれば(鞆の浦の)景観が大きく様変わりし、美しさが損なわれる」とした。県が策定した事業計画については、「周辺の道路事情は悪く、改善の必要性は認められるが、事前調査や検討が不十分で、景観の保全を犠牲にしてまで事業をしなければならないものか、大きな疑問が残る」と批判した。

 県側は裁判の中で、高齢化と過疎化が進む町の再生に事業は不可欠で、交通渋滞の解消などのメリットを主張。景観利益については、「具体的にどの原告が、どの範囲の場所で景観利益を有するか、全く証明されておらず、利益があると認定できない」と反論していた。

 判決では、原告159人のうち、地元の鞆地区から転居するなどした19人については訴えを却下した。

 埋め立て・架橋事業は1983年12月、県が策定。鞆港の沿岸約2ヘクタールを埋め立て、駐車場やフェリー桟橋などを整備し、港を横切る長さ約179メートルの橋を架ける。総事業費は約55億円。知事が2008年6月、国に埋め立て免許を認可申請。今年1月、金子・前国土交通相は「国民の同意を取り付けてほしい」と認可に慎重な姿勢を示していた。


◆判決骨子
▽広島県知事は、県及び福山市に対し、公有水面の埋め立ての免許を交付してはならない
▽鞆の景観は美しいだけでなく、歴史的、文化的価値を有する国民の財産である。近接する地域の人の景観利益は法律上、保護に値する
▽事業者が主張する埋め立て、架橋の必要性、公共性の根拠は、調査、検討が不十分で、合理性を欠く


10/1 読売新聞


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