『なぜデザインなのか。』
京免 史朗
ある企業で聞いた話ですが、工場で働いている人たちの仕事の能率があまりに悪いので、試しに国語のテストをしたら、びっくりするくらい語彙が少なく、成績がよくなかったそうです。たしかに「うぜーな。うぜーよ。メシいこうぜ。マジっすか?」くらいの言葉で済んでしまう世界がある。(中略)それはマズいと思って、その企業は国語教育を始めたんだそうです。それで、彼らが国語が少し面白いと思い始めたあたりから、俄然仕事の効率がよくなった。
国語というと文科系といわれますが、それは絶対に違う。誰も感知し得なかった世界を、言葉で見出し、探り当てていく能力に理科系も文科系もない。理科系とか文科系という発想がずっと長いこと世界を2つにわけてきたけれど、もうそろそろそういう区分けはやめたほうがいい。領域に関係なく、独創的な発想の根には独創的な言葉がある。
原研哉/阿部雅世『なぜデザインなのか。』
京免 史朗
ある企業で聞いた話ですが、工場で働いている人たちの仕事の能率があまりに悪いので、試しに国語のテストをしたら、びっくりするくらい語彙が少なく、成績がよくなかったそうです。たしかに「うぜーな。うぜーよ。メシいこうぜ。マジっすか?」くらいの言葉で済んでしまう世界がある。(中略)それはマズいと思って、その企業は国語教育を始めたんだそうです。それで、彼らが国語が少し面白いと思い始めたあたりから、俄然仕事の効率がよくなった。
国語というと文科系といわれますが、それは絶対に違う。誰も感知し得なかった世界を、言葉で見出し、探り当てていく能力に理科系も文科系もない。理科系とか文科系という発想がずっと長いこと世界を2つにわけてきたけれど、もうそろそろそういう区分けはやめたほうがいい。領域に関係なく、独創的な発想の根には独創的な言葉がある。
原研哉/阿部雅世『なぜデザインなのか。』