第13回規制改革推進会議
「自筆証書遺言制度のデジタル化」
【a,c ,d :速やかに情報収集等を行った上で令和4年度中に検討を開始し、令和5年度中を目途に一定の結論を得る、b:速やかに検討を開始し、令和4年度に一定の結論を得る 】
自筆証書遺言は、民法(明治29年法律第 89 号)において、書面・自書・押印が必要とされており、これら法律上の要件を欠く遺言は無効となる。これらは、我が国社会の基層を形成する書面・押印原則の一つといえる。
しかし、多くの国民にとって、手書きで、様々な決まり事に従って有効な遺言を書くことは容易ではない。高齢化の進展や家族のかたち等に対する国民意識の変化に伴い、また、所有者不明土地問題などの社会課題を解決する上でも、より多くの人が、簡便に遺言を作成できるようにする必要性は高まっている。また、自筆であるからといって、 本人の意思が的確に反映されているとの保証はない。
デジタル技術を用いた民間の創意工夫も活かしながら、より作成しやすく、かつ、現行の自筆証書遺言と同程度又はそれ以上の真正性を確保することは十分に可能と考えられる。また、遺言作成者本人、相続人にとって満足度が高く、紛争の生じにくい遺言を作成する上では、民法はもとより、税法、不動産関連法規等の専門知識が必要となる。遺言作成者の知識不十分に起因するトラブルや、手続漏れの発生を抑止する上でも、遺言作成時のデジタル化によるアシストは有効であると考えられる。
現在、政府においては、デジタル原則に のっとり、デジタル社会の実現に向けた構造改革を3年間で集中的に進めており、自筆証書遺言の制度が我が国社会に深く根ざしたものであることを踏まえても、書面・自書・押印という一律の規律から、デジタル原則に のっとり、リスクベース・ゴールベースでの技術の進展等を踏まえた機動的な対応を可能とするよう新しい遺言の方式の検討が必要である。 あわせて、「自筆証書遺言」の原本が紙であることを前提にする自筆証書遺言書保管制度についても、デジタル完結に向けた取組を行うとともに、デジタル原則にのっとった、新しい遺言の方式によりされた遺言についても保管の対象とするための検討を行うことが必要である。さらに、将来的には、民間の手続も含め、相続等に関連する全ての手続のデジタル完結に向け、取り組むべきである。
以上の基本的考え方に基づき、以下の措置を講ずるべきである。
<実施事項>
a 法務省は、国民がデジタル技術を活用して、現行の自筆証書遺言と同程度の信頼性が確保される遺言を簡便に作成できるような新たな方式を設けることについて、必要な検討を行う。その際には、遺言が、遺言者が生前にした意思表示により、その死後に効力を生じさせるという法律行為であり、国民生活上極めて重要な意義を有する相続制度を支える法制度であることを踏まえた上で、デジタル技術やそれを活用した遺言関連の民間サービス に知見のある者の協力を得る等して 、国民の利便性を考慮しつつ、デジタル原則に のっとった制度設計に向けた検討を行うものとする。
b 法務省は、自筆証書遺言書保管制度について、 遺言書情報証明書等の申請手続等のオンライン化及び証明書のデジタル化などデジタル完結に向けて、費用対効果や国民からのニーズ等を踏まえて検討し、一定の結論を得る。
c aの検討を踏まえ、デジタル完結を前提とした法務局における遺言を保管するための仕組みについて検討を行う。
d 法務省は、 a の検討 に 加え 、現行の自筆証書遺言に 関し、我が国社会において押印の見直しが急速に進展している状況も踏まえて押印の必要性を検証するとともに、自書を要求する範囲も含め、自筆証書遺言の信頼性を確保しつつ、それを国民が作成しやすくする観点から必要な検討を行う。
【自筆証書遺言制度のデジタル化】に関して、は「第2回 デジタル基盤ワーキング・グループ 議事次第」でも議事次第が上がっています。詳細はこちらで確認しましょう!
議題1.自筆証書遺言のデジタル化について
(SAMURAI Security株式会社、陰山司法書士事務所、法務省からのヒアリング)
議題2.公正証書の作成に係る一連の手続のデジタル化について(フォローアップ)
(法務省からのヒアリング)
(資料)
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