Sing Listen Travel 〜歌って、聴いて、旅をして〜

リタイアしてから鬱憤を晴らすようにできなかったことをやってきた。でもマンネリ化してる。まだやり残してることをやろう。

リッカルド・ムーティ指揮、東京春祭オーケストラのモーツァルト

2021-04-23 23:24:00 | リッカルド・ムーティ
今夜はリッカルド・ムーティ指揮、東京春祭オーケストラで紀尾井ホール。
プログラムはモーツァルトで交響曲第35番 ハフナーと第41番ジュピター。

躍動感あふれるハフナーの第1楽章が始まる。なんと瑞々しくクリアーなんだろう。これを奏でる若者たちのようだ。
第2楽章は退いては寄せる波のように優雅で。第3楽章はまたリズミカル。第4楽章は一段とテンポが上がり、気分がどんどん高揚してくる。
あっという間のエンディング。とても短く感じられた。

ムーティの指揮は雄弁だった。
強弱、各パートのバランスに細心の注意が。
ここは弱く、もっと弱く。ここは流れるように。ここは強く押して。あなた、ここは強すぎる。あなた、ここはもっと主張しなさい。
そういった指示に、若者たちは即座に反応していた。息はぴったり合っていた。

ジュピターの第1楽章は第一主題で力強く始まる。響きがより豊かで濃い。
その主題が何度も出てくる。より力強く。またより繊細に。明るく。また物悲しく。
喜びや悲しみや怒りなど様々な感情が押し寄せては退く。
第2楽章は静寂で第3楽章は優雅。思わず最終章かと。でもあの第4楽章の頭の旋律が始まり、例の“天にいるかの思いがした“。
聴きながら、まだ終わってほしくない、と思った。

でもエンディング。
ムーティに讃えられたオーケストラの若者たちには喜びと達成感が溢れていた。

若い歌手、指揮者、オーケストラ、合唱団、すべての音楽家を育てるために日本に来た、とムーティは語っていた。
ムーティはそれをやってくれたんだと思った。
そしてムーティと時間と空間を共有した日々もこれで終わるのだけど。
本当に忘れがたい、素晴らしい日々だった。




















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