今夜は新国立オペラ・ロッシーニ「ウィリアム・テル」初日。
うーん、これはすごい。
オペラを本格的に観はじめて10年強だけど、スカラ座、ウィーン国立歌劇も含めて、今夜が最高のオペラだ。文句なく。
グランドオペラといえば、アイーダぐらいしか思いつかなかったが、これこそがグランドオペラの大傑作だ。
いったい何回クライマックスがあるんだろうと思いながら観ていた。
1幕ラストで民衆の怒り、2幕ラストで闘いの誓いで盛り上がり。3幕はアルノルドとマティルドの別れ、りんごの射抜き、そのあとテルは捕まるが、マティルドがジェミを救うラスト。
どのラストも重唱と大合唱で盛り上がっての、いよいよ4幕。テルはジェスレルを倒し、抵抗軍が到着、スイスは自由を取り戻す。最高潮に盛り上がってのフィナーレ。
タイトルのゲジム・ミシュケタは3時間アリア、重唱を歌いまくった。ベルカント歌いでかつワーグナーも歌える驚異的なパワーと技術。
ルネ・バルベラは素晴らしい高音、すごい声量、歌い回しで圧倒的。オルガ・ペレチャッコは情感たっぷりに歌い、美しかった。
でも斉藤純子さんも彼女に負けない美しさで、4幕の歌がとりわけ素晴らしかった。
安井陽子さんのジェミはすごい、最高。妻屋さん須藤さん村上さんは文句ない。
東フィルは壮大でドラマチックで躍動して美しかった。世界最高クラスの新国立合唱団はホントにすごい。バレエもたっぷりで堪能。
ホールは沸きに沸いた。すべての観客の興奮が終わらない。拍手、ブラボー連呼。
繰り返すが、これまで観たオペラの中で、最高だった。
ヨーロッパでも滅多に観られないこのロッシーニ最後の大作、グランドオペラの傑作を、東京で上演するなんて、大野和士芸術監督でなければ実現しなかっただろう。すごい。素晴らしい。
椿姫や蝶々夫人はもういいって感じだけど、こんなものを観せられたら、来シーズンもシーズンチケット買わないわけにはいかないな。