今日は東京春祭「トゥーランドット(演奏会形式)」で東京文化会館。
ピエール・ジョルジョ・モランディ指揮の読響。姫:リカルダ・メルベート、カラフ:ステファノ・ラ・コッラ、リゥ:セレーネ・ザネッティ、ティムール:シム・インスン。
すごい。すごすぎる。どんなに賞賛しても足らないトゥーランドット。
これまで観てきた2019年の新国立やMETLVは何だったのかというような最高のトゥーランドット!
マエストロモランディはコンサートホールを一大スペクタクルのドラマ空間に変え、ぼくらをトゥーランドットの旅路に誘った。迫真のオーケストラと大合唱団によって演奏会形式だとかという意識はぼくらの中から消えていた。
序盤カラフの決意とリューやティムールの不安の場面で、コッラ、ザネッティ、インスンの実力がわかった。
萩原さん、糸賀さんらの日本勢も絶妙な歌と演技でストーリーを盛り上げ。
メルベートは謎解きでコッラと重厚に絡み、敗れて苦悩を切々と歌い上げる。
そしてカラフが問いを与え、最高の聴かせどころ「誰も寝てはならぬ」はマエストロが手を止めて讃えるほどの出来映え。
METのジョルダーニ、エイヴァゾフも、新国立のイリンカイ、立川市民の福井敬さんも及ばない。
これほどの、ステファノ・ラ・コッラ以上のカラフはぼくには想像できない。
自害に至るザネッティの歌も見事だった。
そしてコッラとメルベートの濃密な重唱からフィナーレへ。
マエストロによってぼくらは興奮の坩堝の中で発狂しそうだった。
東京春祭の演奏会形式オペラはヤバい。
昨年のムーティのマクベス、今年のヤノフスキーのローエングリン、このモランディのトゥーランドット。いずれも世紀の名演だ。
https://blog.goo.ne.jp/sa2016/e/4d7f09bc25da2bae0e6f803ddec7d548/?cid=20a2ddb94924e5b8546cdc06d2c685c3&st=0
https://blog.goo.ne.jp/sa2016/e/85038645f787f6d285f468d41565ba93
これほどのトゥーランドットを観てしまったぼくらに、大野芸術監督は次の新国立のトゥーランドットをどうするのだろう。相当な覚悟でキャスティングをしないと。