辮髪と言えば、中国最後の王朝である清国が大陸を治めていた頃、満民族が漢民族に強制的に剃らせていた、あの髪型です。前頭部の髪の毛を剃り、後頭部の髪の毛を長く伸ばし後ろで三つ編みにして背中に垂らしているものですが、日本人のイメージだとラーメンマンや社会の教科書に乗ってる中国人の絵やジェット・リーの辮髪姿を思い出すかと思います。
八旗相館のご夫婦
しかし、1911年以降の新時代の中で辮髪は姿を消し、今では映画やテレビドラマ、一部の辮髪愛好家?の辮髪ぐらいしか見られなくなり、満民族であっても辮髪を残す事はなくなりました。あの最後の皇帝である愛新覚羅・傅儀も辮髪は切り落としていました…が!今回、私が出会った人物はラストエンペラーの遠縁の親戚に当たり、ご先祖様は清国の太祖であるヌルハチと言う方です。王族の末裔なので、姓は愛新覚羅、名は州棠(ジョウタン)、又の名を傅棠(プータン)さんと言います。彼は清太祖・ヌルハチ(努爾哈赤)の14男・多爾袞(ドルゴン)の直系の子孫で、現在は香港の九龍で八旗相館と言う写真館を営むかたわら、香港愛新覚羅氏宗親会と満族同胞互助会の会長をされています。
清太祖・ヌルハチ
摂政王・ドルゴン
撮影の腕は素晴らしく、76年、77年二年連続で香港撮影学会の撮影大会で一人で一位、二位、三位を独占し優勝したので撮影界では、ご先祖様の多爾袞の勤めた『摂政王』の称号を文字って『撮正王』と呼ばれています。83年より香港の九龍尖沙咀の観光地である漢口道に満族の雰囲気を味わえる、写真館を『八旗相館』開いています。
私がこの店を見つけたのは、ほぼ偶然でした。観光地とは言っても、写真館は雑居ビルの中の奥まった所にあり、おそらく普通に路を歩いていたら見過ごしてしまう様な場所にあり、漢口道の雑居ビルで目ざとく辮髪の人を見つけていなければ知り合うチャンスは無かったでしょう。
彼の辮髪を見つけ、店の前まで行った時に偶々外から黄色いチャイナドレスを着た奥さんが帰って来て、私に話しかけてくれました。私がお店の事を尋ねると、夫婦は私を店内に招き入れ、あれこれと親切に満州族の事や清朝の事を教えてくれました。話をしている中で、私の名刺を渡すと、『若林亜希』と四文字の名前で有った為、ご夫婦は私も中国の少数民族出身の人かと勘違いしかけました。…まさか、外人だと思わずに私と話しているとは思いませんでしたが、ここ最近は中国語で話しても誰も外人だと気付かないので、私の中国語も中国人っぽくなって来たのかしら?
変わったお店なので、ぜひ私のブログで紹介したいと思い、写真撮影をお願いすると快諾して下さった。その上、州棠さんは過去に何度も日本を訪れた事がある親日家でもあり、『流転の王妃、最後の皇弟』のモデルとなった、愛新覚羅・傅傑、愛新覚羅・浩夫妻は彼の親戚にあたり、その子孫が日本に住まわれている事や下関にある中山神社の愛新覚羅社などの事も、良くご存知でした。
骨董品の屏風
小さな店内には、所狭しと清朝八旗軍に関する写真、満民族に関する書籍や骨董品などが並べれており、小さな展示館の様になっています。また、このお店で写真を撮ったお客様や満民族文化に興味のあるお客様には、ご主人自ら自慢の中国茶と中国満民族の伝統的お菓子・薩其馬(サーチーマ)を頂きながら、お喋りをしたりコレクションの書籍を拝見する事ができます。
コレクション
また、写真撮影、現像等で100香港ドル以上のお会計があった方には、くじ引きで、お茶、お菓子、中国風の小物入れなどプレゼントが有るので、興味がある方は立ち寄って満民族の衣装で写真撮影などしてみるのは如何でしょうか?
私も記念に満民族の衣装で写真撮影をしてきました。その様子は次の記事で紹介します!
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