『あれ・・・? どうしよう』
溢れ出した涙は止まらなかった。
「寒かったですか?」
異変に気づいた鍼灸院の先生が気遣う。
「いいえ、ちょっと・・・すみません」
言い終わらないうちに涙は本格的なすすり泣きになった。
「悲しい時は泣くのが良いですよ」
先生はそう言うと黙って背中を揉んだ。
私はその言葉に甘えて少しの間泣いた。
泣きながら思う。
なんで泣くんだろう?
決して悲しくて泣いているんじゃない。
自分の非力さに、実力のなさに・・・
情けなくて泣いているんだと思う。
悔しくて泣いているんだと思う。
どうして、もっと上手く出来ないのだろう。
どうして、信頼されないのだろう。
どうして、自分はこんなにダメな人間なんだろう・・・
そんなことに拘り続けて、先に進めない自分にも嫌気がさす。
こんな時、誰に相談したらいいのだろう。
いつも温泉に一緒に行く友達が真っ先に頭に浮かんだ。
それから、埼玉の友達、ママ友、、、
でも・・・と留まる。
楽しい時は良いけれど、訳のわからない重そうなのは
皆んな嫌だと思う。
そんなふうに勝手に思って、一番辛い時は話せない。
弱い自分を見せるのが怖い?
だから本当の友達になれないのかもしれないと思う。
「泣くと肩と頭が凝るんですよ」
そう言って、先生は頭を強く揉んだ。
「どうですか?少しはさっぱりしましたか?」
人生相談をしに来たのではないから、
背中と腰の痛みが治まれば十分だ。
「泣きたい時はまたいつでも来てくださいね」
「もう大丈夫です、ありがとうございました」
言いながら、失敗したな・・・と心で思う。
ちょっと油断した。
弱みを握られてしまったような痛みがあった。
車に戻って、また泣いた。
今度はなんでもう少し我慢できなかったのかと
悔いていた。
本当にいい先生なのに、
自分が弱いと、誰もが自分を傷つける人に見える。
思いやりの言葉も嫌みに聞こえる。
夜になって、また自分の弱さを知る。
一人は自由で、淋しい。

<職場の坂道から関門海峡を望む>
溢れ出した涙は止まらなかった。
「寒かったですか?」
異変に気づいた鍼灸院の先生が気遣う。
「いいえ、ちょっと・・・すみません」
言い終わらないうちに涙は本格的なすすり泣きになった。
「悲しい時は泣くのが良いですよ」
先生はそう言うと黙って背中を揉んだ。
私はその言葉に甘えて少しの間泣いた。
泣きながら思う。
なんで泣くんだろう?
決して悲しくて泣いているんじゃない。
自分の非力さに、実力のなさに・・・
情けなくて泣いているんだと思う。
悔しくて泣いているんだと思う。
どうして、もっと上手く出来ないのだろう。
どうして、信頼されないのだろう。
どうして、自分はこんなにダメな人間なんだろう・・・
そんなことに拘り続けて、先に進めない自分にも嫌気がさす。
こんな時、誰に相談したらいいのだろう。
いつも温泉に一緒に行く友達が真っ先に頭に浮かんだ。
それから、埼玉の友達、ママ友、、、
でも・・・と留まる。
楽しい時は良いけれど、訳のわからない重そうなのは
皆んな嫌だと思う。
そんなふうに勝手に思って、一番辛い時は話せない。
弱い自分を見せるのが怖い?
だから本当の友達になれないのかもしれないと思う。
「泣くと肩と頭が凝るんですよ」
そう言って、先生は頭を強く揉んだ。
「どうですか?少しはさっぱりしましたか?」
人生相談をしに来たのではないから、
背中と腰の痛みが治まれば十分だ。
「泣きたい時はまたいつでも来てくださいね」
「もう大丈夫です、ありがとうございました」
言いながら、失敗したな・・・と心で思う。
ちょっと油断した。
弱みを握られてしまったような痛みがあった。
車に戻って、また泣いた。
今度はなんでもう少し我慢できなかったのかと
悔いていた。
本当にいい先生なのに、
自分が弱いと、誰もが自分を傷つける人に見える。
思いやりの言葉も嫌みに聞こえる。
夜になって、また自分の弱さを知る。
一人は自由で、淋しい。

<職場の坂道から関門海峡を望む>