■ 今日のおすすめ
『「はじめての人工知能」Excelで体験しながら学ぶAI』(浅井 登著 翔泳社)
■ 「AI」を体験してみたいと思った背景(はじめに)
本題に入る前に、「AI(Artificial Intelligence)」について、簡単にその概念と歴史を考えてみたいと思います。人工知能学会や総務省の情報通信白書では、「AI」を「『知的な機械、特に、知的なコンピュータープログラムを作る科学と技術』と一般的な説明にとどめる」と説明しており、明確な定義はないとしており、ある意味では、「AI」は幅広い分野で活用されるものと言って良いと思います。
また歴史的に見ると、「AI」の最初のブームは1950年代後半から1970年代前半にかけてでした。しかし当時のコンピューターの性能が低く、下火になってしまいました。2回目のブームは1980年代と言われています。エキスパートシステム(特定の分野に限った問題解決を図ろうとするもの)が世界中の企業で流行しました。しかし必要な情報は人間が入力する必要があり、1995年頃には下火になってしまいました。3回目のブームは、2012年6月にグーグルが発表した、深層学習(機械学習の一つ)による猫認識(深層学習によって抽出された特徴要因に猫という概念を与え、次に新しい猫の画像を、You Tubeのビデオにより、1週間与えたところ、猫の特殊要因を自動で抽出して、猫と判別した)をきっかけとして、ブームが訪れたと言われています。日本でも2016年頃から、企業でのAIの導入が進み始めたとされています。
さて、本題に入ります。私が、「AI」の技術的な仕組みを体験してみたいと思ったのは、或る刺激的なニュースがきっかけでした。それは、JALが「レベニューマネジメントシステム(予約状況などに応じてチケットの価格を変えるシステム)」を、50年使い続けた、社員の経験に頼る、旧システムから、スペインに本社を置きヨーロッパを主に世界中に拠点を持つ旅行・観光業向けIT企業アマデウス社製のAIシステム「アルデア」の導入に踏み切り(2017年11月)、大幅な収益改善を図ったことです。800億円の投資でしたが、2019年3月期には減価償却費(5年)を差し引いても利益が増加する状況、つまり、年間160億円以上の利益の増強が図れたことになります。(国際線の輸送能力+7%に対し、座席利用数は+9%、単価上昇は+2%という成果を2018年4-6月期決算〈前年比〉で出したのです。)(2018年9月1日 日本経済新聞朝刊より)
このニュースは象徴的な事柄として理解すべきではないかというのが私の考えです。日本経済新聞(2018年7月16日 朝刊)「経営の視点」欄で、「AI時代の事業変革」と題して編集委員の関口氏がこう語っています。「経営におけるAIの活用とは情報システム部門の問題ではなく、経営者自らが過去の作法を改めタブーに挑戦することから始まる」と。
これから、「AIは未だ勃興期」の時代から「AIによる事業変革期」に向かっていくのではないかとの時代背景が、私をして、「AIの技術・仕組みを知りたい」「AIを体験してみたい」との思いに至らせたのでした。
こうして見つけ出したのが紹介本です。次項で紹介本の内容を簡単にご説明します。
■ 紹介本により「AI」を体験する
AIについて、私達(除く専門家)は、AI機器に入力(AI機器に向かって一定の動作をする)し、AI機器から出力(入力に対応する結果)をAI機器から得ている事象については、展示場(東京ビッグサイト等)やテレビや新聞を通じて多くの情報を得ています。
しかし、入力と出力の間の技術的プロセス・仕組み(専門用語では「想起」という)については全く理解できていないのではないでしょうか。
この「想起」について「体験」させてくれるのが紹介本です。紹介本で体験できるのは、AI全体の中で考えれば、入り口の入り口です。「体験」できるレベルも、紹介本を読む人の高等数学(微分・積分、関数、行列、ベクトルなど)やExcelおよびVBA(Visual Basic for Application)言語によるプログラミング等の習熟度によって、様々と思います。しかし確実に言えることは、「暗闇に光がさす」ことは間違いないでしょう。
紹介本によれば、AIの研究テーマは、人工知能学会の学会誌に発表されたテーマでは42テーマ有り(2001年~2015年の15年間)、紹介本に記載されています。
紹介本で「体験」できるのは、次の、42テーマの中の7テーマと42テーマには含まれていない2テーマです。42テーマに含まれる、「ニューラルネットワーク」「ファジィ」「遺伝的アルゴリズム」「探索法」「ゲーム理論」「機械学習」「エージェント」の7つと、それ以外の、「問題解決」「エキスパートシステム」の2つです。各々のテーマの内容については、字数の関係などもあり、省略させて頂きます。
話は前後しますが、紹介本で「想起」を「体験」できるという事はどういう事かと言いますと、それぞれのテーマについて、「入力」「想起」「出力」を、読者のPC上で実習できる「Excelサンプル・プログラム」を、紹介本指定のURLからダウンロードし、読者のPC上で「Excelサンプル・プログラム」動かしながら、併行的に紹介本を読み、入門的なAIの知識を「体験」することができるのです。
ご興味のある方は、是非、紹介本とダウンロードした「Excelサンプル・プログラム」と向かい合って下さい。
■ 「AI」を「体験」する意義(むすび)
前項で申し上げましたが、AIを「体験」することは、「暗闇に光がさす」という表現を使わせて頂きましたが、AIがこれからの事業変革の一つのテーマとなっていく時代において、経営者、あるいは経営に係る人々にとって必要なことと思います。「体験」「暗闇に光がさす」ことで、自社或いは外部のAIのSE等の専門家とコミュニケーションをとれるようになります。この事は、自社のAIによる事業変革を成功に導く大きな要因になるのではないでしょうか。
【酒井 闊プロフィール】
10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。
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