■ 今日のおすすめ
『ビジネス・フレームワーク』 (著者:堀 公俊 発行所 日本経済出版社)
■ 座右に置いて「フレームワーク」の辞書として使ってください(はじめに)
先月は、フレームワークを物語で面白く読み、記憶の定着度も高まる本を紹介しました。今月は、先月ご紹介の本で身についた基礎をベースにしながら、更に範囲を広げ、数・種類を多く身につけていただく為の本を紹介いたします。
加えて、今月ご紹介の本は、座右に置いていただき、「フレームワーク」の辞書として使って頂くと便利な本です。
■ 使う場面に応じて5つの章にまとめられている
【戦略立案のフレームワーク】
ここには皆さんが馴染のフレームワークが多いですね。飛ばさないで読んでください。新しい視点が見つかるかもしれません。私は一つアイデアが浮かびました。「SWOT分析」・「VRIO」・「バリューチェーン」フレームワークを併用して使うと、企業内各部門の問題点・課題が浮かび上がってくると思いました。
【マーケティングのフレームワーク】
ここも皆さん馴染のフレームワークが多いですね。しかし「RMF分析」と「バリュー分析」は読んでみて下さい。良く書けていますよ。ビジネスのヒントを思いつくかも知れません。
【問題解決のフレームワーク】
ブレーンストーミングなどをする前に目を通しておきたいですね。「問題解決プロセスとペイオフマトリクスの使い方」は良く書かれています。問題・課題の把握に始まり、解決策を考え出し、その中から実行策を選ぶ、いわゆる問題解決のプロセスがわかりやすく書かれています。具体的なビジネスの場面で有効に活用できます。
【マネジメントのフレームワーク】
皆さんおなじみのフレームワークが並んでいますが、「ECRS」は5S等と同様プロセス改善に使えますね。「ハインリッヒの法則」は、あまり出てこないフレームワークですが、これを使い継続的に活動を続けるならば、事故防止、ミス防止に極めて有効に働きます。
【組織開発のフレームワーク】
ここは皆さんに馴染のないフレームワークがたくさん出てくるのではないですか。でも是非読んでみて下さい。今まで知らなかったことがたくさん書かれています。組織・個人の能力開発・指導に応用できるフレームワークがいっぱいです。例えば組織の経営理念は「MVV」フレームワークが一番組織に浸透しやすいと思います。業績直結能力(コンピテンシー)の現れ方を説明する「氷山モデル」を知っているか知らないかで、教育・指導が的確になるかどうかの分岐点になります。
■ フレームワークはビジネス・シーンで“MECEな閃き”をもたらす(むすび)
「フレームワーク」は様々なビジネスの場面で、私達にヒントを与えてくれます。先月も申し上げましたが、幾何学の補助線と同様、ビジネスでも適切な補助線を引けるかどうか、すなわち、適切な「フレームワーク」を適用できるかがビジネスに良い結果をもたらすキーポイントになります。
更にいえば、ビジネス・シーンでの“閃き”をもたらすと同時に、その“閃き”は「フレームワーク」を使うことで、MECE(漏れなくダブりがない)な発想ができるので、抜けが無いと言い換えることもできます。
「フレームワーク」は決して万能ではありません。しかしビジネスに大切な“MECEな閃き”をもたらす、大切な“きっかけ”になることを重ねて申し上げておきたいと思います。
この紹介本に、全ての「フレームワーク」が載っている訳ではありません。他にも有効なフレームワークは未だ多くあります。例えば「MORSの法則(コンピテンシーな行動を、具体的かつ有効な言語化で実現する方法)」(6月ご紹介予定)「SECIモデル(暗黙知を形式知に有効に表出化する方法)」(7月ご紹介予定)「SCP分析(実際操業度率、損益分岐操業度率などを使い、損益分岐点分析〈CVP分析〉では分析できない有効な経営分析手法)」(2013年9月24日の「ビジネスマンの数学」でご紹介済み)等々あります。
“これは使える”と思った「フレームワーク」は、新しいデータとして保存・蓄積していくことも大切です。
【酒井 闊プロフィール】
10年以上に亘り企業経営者(メガバンク関係会社社長、一部上場企業CFO)としての経験を積む。その後経営コンサルタントとして独立。
企業経営者として培った叡智と豊富な人脈ならびに日本経営士協会の豊かな人脈を資産として、『私だけが出来るコンサルティング』をモットーに、企業経営の革新・強化を得意分野として活躍中。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます