桜桃生存日記

桜桃が気ままに書きたいことを書く日記。
日常のこと、趣味のこと、思ったこと、など。

森下典子『日日是好日』

2020-03-27 | 本棚

※表紙の画像は版元ドットコムより。

「にちにちこれこうじつ」と読みます。
先に映画版を観て、純粋に良い映画だなあと思い、
古本屋でたまたま原作を見つけて、買いました。
映画を観てその原作を読むというのはこの作品が初めてだし、
森下典子さんの本を読むのも初めてでした。

作者が茶道を習い始めたきっかけ、
「お茶」が気付かせてくれた15の発見、
そして自身に訪れた変化について、
丁寧にわかりやすく描かれているエッセイです。

先述した通り、私はこの作品は映画版から入ったので、
原作も完全に物語だと思っていました。
読んでいる途中で、彼に「これってエッセイ?」と訊かれ、
エッセイだという事に気付いたのでした。
というのも、ただつらつらと茶道の作法や茶道での出来事を
書いてるわけでなく、登場人物のセリフが出てくるのです。

そして章ごとに、お茶を習っているうちに気付いた事、
成長した事、成長できていない自分に落ち込む事、
茶道がただのお稽古事ではなく、五感で季節を感じ、
生き方にも影響を与える学びの場になっていた事実などが
順を追って描かれ、情景が目に浮かぶようでした。
特に映画を先に観たからかもしれませんが。

ひとつの事を長く続けていくと、気付ける事ってこんなにあるんですね。
そして長く続けていても、失敗したり自信が持てなかったりする事も。
茶道って奥が深いです。

サラッと読める文章ですが、章ごとに目から鱗だし、
目から涙がこぼれる話もあります。
そうですね。もし彼にこの本を薦めるとすれば、
第十一章と、第十四章は読んでみて欲しいですね。ジーンときますよ。

最後に作者が長年茶道を続けてこられたのは、
武田先生の存在が何よりでしょう。
映画版では生前の樹木希林さんが演じておられました。
武田先生とのやりとり、武田先生が厳しくも穏やかに教えてくれた事が、
作者の人生を支えているのだと思いました。

ふとした時、手にとってじっくり読みたくなる作品です。
映画を観た時も感じたけど、「日本の良さ」を感じられるし、
ストンと腑に落ちる瞬間があったり、感動したり、
人生を生き抜いていくためのヒントをくれる1冊です。

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