富岡町の震災日記 「桜里園(オリオン)」

福島県富岡町は原発事故により町民は避難中。一部地域は解除、故郷に戻る町民も。桜の町の復興が叶うまでの日々をお伝えします。

バラの花

2023-05-18 09:51:25 | 裂織・草木染め日記
5月16日、1年前のこの日…
長年の親しい友人が心不全で急逝した。
一周忌を前に、5月3日に主人と二人で仏前に手を合わせてきた。
コロナ禍、私の入院手術・病気治療、そして義母との同居開始。
いろいろあって、なかなか彼女の自宅へ行くことがかなわなかった。

震災時には、いの一番に家具や電化製品、食料を
車に積み込み、借りたばかりのアパートに来てくれたご夫妻だった。
お見舞い金まで準備して…その心遣いには感謝しかなかった。

孫が生まれた時など、何回かお互いの自宅を行き来してはいたが、
コロナ禍になり時々かける電話で近況報告。
私の病気治療も後日元気になったら連絡しようと思っていた。
入院日の2日前にご主人から電話があって、
奥様が心不全で自宅で亡くなったと聞かされた。
まだ58歳…若すぎるよね。
お線香を手向けても実感が全然わいてこなかったけど、
彼女の人生を思わせる素敵な戒名を見たとたん…
ただただ…涙がこぼれてきてしまった。

おりしも5月16日、彼女の命日に
知人より綺麗なピンクのバラを頂いた。
庭の薔薇を剪定した枝だそうで、
花や蕾は空き瓶に生け、残りは染色するために煮出した。
鉄媒染した綿糸と絹の古布たちは、
優しい暖かみのあるグレーに染まった。
走り抜けるように逝ってしまった彼女のような
優しくて暖かみのある色に。
心さみしい一日になるはずだった16日が、
バラが沢山我が家に持ち込まれたことにより、
なんとも忙しい一日を過ごした。
頑張り屋の彼女は悲しむよりも、私が忙しく元気でいる事を
きっと喜んでくれているに違いない。
また会いに行くからね。

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