『勤務地シンガポール』

残りの人生どう生きるか迷い続けてこのまま終わってしまいそうです

国家レベルで“集客の達人”を目指すシンガポール

2010年01月18日 | シンガポールで暮らす


 このブログに何度か書きましたが、今シンガポールでは「2つのカジノ」が急ピッチで完成を急いでいます。

 ひとつは米系のラスベガスサンズが「マリーナ湾」で建設しているカジノ。もうひとつはマレーシア系の企業が「セントーサ島」で建設しているカジノです。どちらのカジノもホテルやショッピングモール、その他のエンターテイメント施設を取り備えた総合リゾートです。

 先週末、そのマレーシア系企業の運営する「セントーサ島」のカジノへ行く機会がありました。そちらの方は、5~6つのホテル、そして目玉のユニバーサルスタジオのシンガポール版がリゾート施設の中に組み込まれていて、名称も「リゾート・ワールド・セントーサ」と呼ばれています。

 まだカジノは完成してなく、その他の施設やホテル等も一般にはオープンになっていないのですが、5~6つできる予定のホテルのうち、既に完成し2~3のホテルを一般に先立って、まずはこのリゾート施設を運営している企業のスタッフとその家族に対して「プリ・オープン」したとのことでした。もちろん、それらのホテルには宿泊も出来、これまたプリ・オープンしているレストランでは食事も出来ます。

 私は今回、その運営企業で働く友人のお陰で中に入ることが出来たました。運営会社で働くスタッフとその家族へのベネフィットですが、一方では、サービスなどで気がついた点、ホテルであれば部屋の問題点や欠陥、レストランであれば食事の味や質について「フィードバック」を求められている、と友人は言っていました。

 ホテルや施設の中を歩くと、まだ工事中のため多くの作業員の方が目につきます。外見からそのほとんどは南アジアからの出稼ぎの人たちと分ります。

 ホテルのスタッフ、そして清掃係りの人たちも皆外国人です。華人系と見受けられる人たちもシンガポール人ではなく、隣国の華人系の人たちだったり、中国本土からの人たちであることは、見れば大体分ります。夜、とある、既に営業をしているレストランで食事をしたのですが、サービススタッフのほとんどは、その外見と英語の発音から、フィリッピンの人たちでした。

 友人の話によると、このセントーサのカジノ・リゾートを運営するマレーシア系企業の従業員だけでも2000人いるとのことです。

 とある先日、あるお客さんをオフィスに訪ねた際、「今年の業界のコンベンションはシンガポールで、それもセントーサの新しくできるホテルでやるんだよ。」と仰っていたのを思い出しました。毎年開かれるその業界のコンベンションには約1000の方々が海外からいらっしゃるようです。

 シンガポールは80年代、当時の新興国の中の雄として、日系企業など先進国から製造メーカを多く呼び込み一大生産拠点なった時期がありました。その後シンガポール人の給料が上昇するにつれ生産拠点としてのシンガポールは萎んで行きましたが、代わりに90年代中ごろからはIT、そしてその後はバイオやナノテクとありとあらゆる手で「人材」を外から入れ、同時に伝統的な金融や海運そして観光でも手を抜くことはせず、継続して外国人を惹きつけて来たと思います。

 大きなコンベンションや会議ができるところを複数作り、人を呼び込んではその人たちからお金を落としてもらう仕組み作りにかけては近隣諸国の中で、いや世界の中でも群を抜いていると思います。イベント系の試みで近年大きく目立ったのは一昨年から始まった「F1」だと思います。これも初の夜間レースということで注目を浴びたのは記憶に新しいです。

 そして今、内外から注目されているのが冒頭の「2つのカジノ」です。こちらはまさしく海外の、それもお金持ち狙いです。シンガポール国民はカジノ入場に際して、確か100ドルだったか入場料を払わなければいけない。国は自国民の性質をよく見抜いているかのようです(笑)。

 箱物やハードの建設だけに終わることなく、ソフトも充実させると共にマーケティングの手法を用いて「集客」を実現するシンガポール。資源のない小国が生き残りをかけて必死に戦う姿には見ていて頭が下がります。

 時代は変われども一貫している政策、それはこの国では「集客」だと思います。そしてその時代時代に応じて「集客」する対象を戦略的に、情を挟まないで遂行する様は、小さいからできることなのか、または政権担当与党が常に安定しているから可能なのか、いずれにしてもこの「集客の達人」から学べるものが多々ありそうです(笑)。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
PRの人も100ドルだそうです (猫好き)
2010-02-07 10:40:12
このシンガポールのカジノ開発、マリーナ地区とセントーサ地区をまとめてみんな「IR」と言っていて、どういう違いがあるのかと思っていたら、片方はアメリカ、片方はマレーシアの会社なのですね。

賭け事が割りと好きな国出身の友人、以前からこのカジノ建設について興味を示していました。彼はPRを持っていて、100ドルかかるとわかったときに、とてもがっかりしていて、EPである私のことが非常にうらやましそうでした(笑)。
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佐藤 (猫好きさんへ)
2010-02-08 22:44:16
猫好きさん、はじめまして!
書き込みありがとうございます!

そうですね、一方はアメリカ一方はマレーシアの会社。で、どちらも賭博のプロですよね(笑)。

入場料について、これは未確認情報ですが、2000ドルで1年間有効の入場パスが買えるとか(笑)。

確かに入場一回につき100ドルだったら、20回以上カジノに通うのだったらこのパスを購入するのが安いですが(笑)。

また書き込みください!
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