似た用語なのか、裁判の判決理由でも誤用されてます。そこで両者の違いをまとめてみました。
労働協約とは、労働組合と使用者との間で結ぶ、労働条件他の合意書面です。根拠法は、労働組合法14条以下。合意すればどんな内容でも締結可能で、弱小少数組合でも労働組合であれば使用者と締結できます。合意事項は、その労働組合員と使用者を拘束し、締結組合に所属しない非組合員は対象外です(ただしその事業場の労働者4分の3以上組織組合を除く)。また労働組合のない事業所において、労働協約は結べません。
労使協定は、事業場の過半数労働組合、がなければ事業場過半数労働者代表とで結ぶ、使用者の違法行為への事前免責書面です。根拠法は、労働基準法他、 労働各法にあります。法令に規定している内容しか結ぶことができず、事業場ごとに、過半数組織労働組合と締結、当該組合がなければ、その事業場の過半数を代表する労働者代表を選出する必要があります。結べば、その事業場で行われる労働犯罪に対して、司直は手出しできません(例:届け出済み36協定により法定労働時間を超え協定時間まで働かせたこと)。しかし、労働協約と違い、労働条件の合意書面ではありませんので、免責された触法行為を労働者に命じるには、別途就業規則等発出根拠が必要です。
法令に根拠のない案件を労使協定と題して結んでも、その書面に免罰効果も、また集団的労働条件の合意書面にもなりません。就業規則に反しないのであれば、署名した労働者の個別労働条件の合意書程度の効果しかありません。
労働協約 | 労使協定 |
---|---|
根拠法:労働組合法 | 根拠法:労働基準法ほか労働諸法令 |
労働組合と使用者との間で結ぶ労働条件他の合意書面 | 使用者の触法行為への事前免責書面 |
労働組合、労働組合でありさえすれば弱小組合とも締結可 | 事業場の過半数労働組合、がなければ事業場過半数労働者代表を選出のうえ締結。事業場過半数を制しない労働組合は不適格 |
締結した労働組合と使用者を拘束。労働組合員がその事業場の労働者4分の3以上だとその事業場労働者にも適用。それ未満は非組合員には不適用。 | 免罰効果は締結事業場の全使用者に適用。協定だけでは民事上の権利義務は生じず、別途、労働協約、就業規則に規定が必要。 |
合意すればどんな労働条件を内容とすることができる | 法令に規定された事項以外を締結しても効力は発生しない |
(2017年10月15日投稿、2022年5月9日編集)
関連項目
・労使協定