よく似た提出物ですが、機能的に異なると言われています。
退 職 届 令和4年11月30日 株式会社 ど・ぶろぐ政策所
営業部第二営業課 このたび、一身上の都合により、令和4年12月15日をもちまして、退職いたします。 以上
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退 職 願 令和4年11月30日 株式会社 ど・ぶろぐ政策所
営業部法人営業課 このたび、一身上の都合により、令和4年12月15日をもちまして、退職いたしたく願い出ます。 以上
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縦書きのサンプルです。
退 職 届
このたび、一身上の都合により、 令和四年十二月一日 管理部管理課
株式会社 ど・ぶろぐ政策所 |
受理されれば実質的な違いがあるわけではありません。またタイトルによるのでなく、文面中身内容によります。願とありながら、中身が通告なら相手の同意は無用。ここでは、その内容にそって「退職届」「退職願」として見ていきます。「退職届」は一方的通告、対して「退職願」は、受け取る相手方の了承を願いでる手続きです。後者は遺留されたり拒否される余地を残しているといえます。その書面が人事権者のもとに届くまでは、撤回が可能とも言われています。「退職届」の一方的通告では、相手方の同意は必要なく、使用者に渡れば解約成立です。ただし懲戒事案があり、退職日までに懲戒処分の可能性はあります。
さて雇用契約関係の解除にあって労働者からする退職届、退職願とパラレルな関係にあるのは、雇用主からする解雇、退職勧奨です。
退職届 | 相手に対する一方的通告。相手に達すれば解約の効力が発生する。 | 解雇 |
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退職願 | 相手に対する解約の申込。相手が同意すれば解約の効力が発生する。 | 退職勧奨 |
解雇や退職勧奨を受けて退職願をだせ、という詐術に乗ってはいけません。ただし勧奨に対しては、「一身上」を「御社の退職勧奨を受けて」と事実関係を明記する退職届は可能です。退職勧奨は拒否できますが、解雇なら拒否しても一方的通告ですので、通告受けたことをもって効力が発生します(なお労基法上は解雇予告、予告手当支払という要件を満たすことを要求しています)。成立したものを労働者が拒否しても無意味で、最終的には民事裁判で不当解雇として争うことになります。出せと言われた書面について、まずはそれを言い渡してきた方、意思表示をした使用者側に解雇証明書という書面を出させるものです。労基法22条によりすみやかに出せと要求しましょう。
(2022年12月3日投稿)