労働法の散歩道

yahoo知恵袋で回答していて、繰り返し同じ投稿するロスを減らすために資料室としてもうけました。

法律条文のてにをは

2023-04-07 14:06:00 | その他法務

法律文は、ときには準用やら置き換え、読み替えで、政令への委任条項と、要件効果を読み通せないことかぎりない(読みこなせば限りはあるのでしょうけど)のですが、単純にして悪文といえるのもあります。たとえば、比較的平易な条文がつづく労働契約法の中で、13条はどうでしょう。

(法令及び労働協約と就業規則との関係)
第13条 就業規則が法令又は労働協約に反する場合には、当該反する部分については、第7条、第10条及び前条の規定は、当該法令又は労働協約の適用を受ける労働者との間の労働契約については、適用しない。

何をいいたいか、一読してわかりますでしょうか。主語が2つあるようですし、「については」も2つあります。見ようによっては、「てにをは」の「が」のあとに「は」が4つ並んでいます。 意訳してみたらこんな感じでしょうか。

就業規則が、
  • 法令
  • 労働組合との書面で同意した労働協約
に反する場合
就業規則のその反する部分は、より有利な法令又は労働協約を適用するのであって、
この法律により、労働者の労働条件において就業規則が適用される場合があるとする、
  • 労働契約を結ぶにあたり就業規則の役割を定めた第7条
  • 個別合意なく就業規則を変更する手続きを定めた第10条
  • 就業規則におとる労働契約の無効を定めた第12条
 就業規則の該当部分については、この3条を適用しない

としています。法や協約に反する部分なのですから、この法で適用するという効果を排除しているのです。

(2023年4月7日投稿)

関連記事

労働契約法の変転

法律の改正作法

投稿記事一覧


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 労基法上の歩合給 | トップ | 36協定における休日の限度時間 »

その他法務」カテゴリの最新記事