かなり長文になりました。
例の如く、ぐだぐだになっていますが、よければお付き合いください。
明神池の伝承です。
ある日突然、明神池からおどろおどろしい地鳴りのような音が聞こえてきた。
村人が何事かと思い駆けつけると、周囲の木々がざわざわと震え、池の表面が波立ち荒れ狂っていた。
池の中から轟々という音が聞こえ、「池の水神様が怒っている」誰もがそう思い恐れおののくが、オロオロするばかりでどうすることもできずにいた。
そんな時、役行者がこの村を通りかかる。村人に懇願された役行者は池のほとりに座り込み、三日三晩不眠不休で祈祷を続けた。
すると四日目の暁になってようやく荒れ狂っていた池が静かになり、物音一つしなくなった。同時に東の空が茜色に染まり、美しい朝の光が池に降り注いだ。
役行者は村人に水神を祀るための社を建てるように命じ、池をあとにした。池は明神池と名づけられたとのことです。
さらに明神池には大蛇にまつわる伝説も残されています。
役行者が大峰山脈で行をしていた時、十津川村から下北山村に抜ける笠捨峠で、山越えをする人々に悪さをする大蛇がいることを知る。
そこで退治しようと役行者が訪れ、鉄の高下駄で踏みつけ、手にした錫杖で跳ね飛ばした所、尾は奈良市の猿沢池、頭は熊野市の有馬の池(現在の山崎運動公園)、胴はこの下北山村の明神池に落ちたと言われているそうです。
どちらが本当か、いずれにしても明神池が特別な力を宿す神秘の池であり、それ故に役行者がこの場所に神社を作ったという流れですかね。
役行者が悪事をする大蛇を投げ入れたという伝説も、この池が邪を封じる霊力を持っていたからかもしれません。
最後に、昔から語り継がれ、また現代でも目撃されている明神池にまつわる七不思議と余談を紹介します。
1.「入る谷無し 出る川無しなのに決して涸れず、水位がひとりでに上昇することがある」
周囲を小高い峰に囲まれた明神池は注ぎ込む谷も出てゆく川もない。しかし常に満々と水をたたえ、どんな日照りのときでも池が干上がったことは一度も無い。
ところが明治時代、池の水がひとりでに溢れ出して、ついには拝殿の階段に到達したことがあり、村人は「悪いことの前触れ」もしくは「神の怒り」ではないかとひどく恐れたいう。
また1975年にも、大した雨も降らないのにどんどん水位が上がり、拝殿まで水があふれたことがあったらしく、大学の先生に調べてもらったが、やはり原因不明であったとのこと。
ただ、その調査の際、池の深さは場所によって1m半~7mと様々で、湖底は起伏に富んだかなり複雑な地形であることが分かった。
2.「神社の前の道も聖域である」
現在、池神社の拝殿と明神池の間には国道425号線が通っているが、ここで不敬なことをしたりすると、よくないことが起こると言われている。
昔は現在の拝殿のすぐ近くまで池が広がっており、赤い鳥居は水に浸かっていたそうです。
すなわち池と鳥居の間の道路はかつての神社の境内、あるいは御神体の上に作られたも同然だということなので、車で通過する時でも敬虔な気持ちを持ち、軽く一礼して通ってくださいとのこと。
3.「池に石を投げると雷雨になる」
池に石や木を投げたり、池の水を汚したりトイレをしたりすると、晴天であってもたちどころに大雨が降ると言われている。
ある時、池の横を通りかかった旅人が「自分は氏子ではないから大丈夫」と思い、石を投げた所、突然雷が鳴り響き、バケツをひっくり返したような豪雨と強風が吹き荒れて全身ずぶ濡れ、ひどい目に遭ったという。
またこのような話も。「池に船釘を投げ込むと龍が現れる」と聞いたある男が、船釘およそ4キロを持ってきて池に投げ入れた。
するとにわかに空が曇り、谷中に雷鳴が響き渡ると同時に、水面が波立ち、池から巨大な龍が天に上がったというのです。男は恐怖と驚きで気を失い、その場に倒れ込んでしまったそうです。
例え突然の雨にならなくとも、石を投げるとその後で転んだり怪我をしたりするなど良くないことが起こると言われている。
4.「鯉や亀を殺めると死ぬ」
明神池は池そのものが御神体であるため、釣り糸を垂れることも船を浮かべることも、また足を踏み入れることもしてはならないとされてきた。
ところがある男が明神池の鯉を釣ったことを床屋で自慢げに話をしていたら、急に祟りが出て病気になってしまい、どこの医者に行っても治らなくなってしまう。
占い師に尋ねると「明神池の魚を釣ったからだ」と言われ、神社に謝りにきたところ、病気は嘘のように治った。
現代でも池の鯉を捕って刺身にして食べた人がいて、その人は翌日、石を運ぶ作業をしているときに重機が倒れ、即死してしまったらしい。
また池神社で、ある男が弁当を食べていると弁当の匂いを嗅ぎつけたのか池から岸に上がってきた亀を、男は捕まえて足を紐でしばった挙句、木の枝に吊り下げてそのまま家に帰ってしまう。
その男は翌日、山道を走っているときに車ごと転落し、あっけなく亡くなってしまった。
明神池には現在、密かに放流されたブラックバスやブルーギルなども生息しているが、キャッチ&リリースであっても池の魚を傷つけることになるので釣りは絶対にしない。
5.「御神木を伐ると祟りがある」
神域の木を伐ると、伐った者はその場で気を失って100年の眠りにつくとも言われ、また神社の草木を切ったり採ったりすると、怪我をするなどの天罰があると言われています。
明神池を一周する遊歩道でも、池側の木は一切伐ってはならないと言われているため、池に倒れた木も全てそのままである。
池神社の御神木は神社の北20mほどの位置に立っていた直径3m以上ある大木で、矢立の杉と呼ばれていたが、大阪城の建材にするため、秀吉の命令で伐採されることになる。
もちろん村人は畏れて誰も伐ろうとはしなかった。しかし秀吉の落とし胤(だね)と言われる神をも恐れぬ兄弟がこの地を訪れ、御神木を伐ろうと言い出した。
ところが斧を入れる度に刃がこぼれてしまい、兄弟は斧を研ぎながらほんの少しだけ木に切れ込みを入れた。
ところが翌朝、その切り屑がすべて木に戻っていた。兄弟は同じように斧を研ぎながら木を削り続けたが、その翌朝も同じ現象が起こって木は元通りになっていた。
そこで兄弟は、削った木屑を夕方に焼いてしまうことに。これではさすがの御神木も、切り傷を元に戻すことができず、二人の荒くれ者によって、とうとう伐り倒されてしまった。
ちなみにこの兄弟はその後、明神池の水を池原の集落へ流そうと思い立ち、池の周りの木を伐り始めたところ、突然池の中央が波立ってきて二人はその場で気絶。
目が覚めたときには手にした斧の柄が腐っており、着物もドロドロ、顔は髭だらけ。驚いて村に下りると、三年の月日が経過しており、さすがに兄弟もこれには懲りて、以後は無茶をしなくなった。
しかし明神池の怒りは、その後別の形で現れることとなる。
6.「吉兆の浮木様(うきさま)が現れる」
池には長さ4mほどの太い古木が、長年浮いたり沈んだりしていると言われている。
木の上には苔や草が生えているが、これは池神社の御神木だった「矢立の杉」の一部で、「浮木様」と呼ばれています。
普段は見ることができない浮木様が現れるのは大いなる吉兆とされていて、世の中にめでたいことが起こったときは池の中をグルグル回ったそうです。
また、その浮木様の上に亀が1~5匹ほど乗っていることもあり、これは神様が遊びに出られたものと考えられてきた。
そもそも浮木様は大阪城の建材にするために切り倒された御神木の梢の部分である「末木(うらき)」ですから、大阪城に異変や不幸があるときは必ず現れたらしく、大阪夏の陣で大阪城が炎上した時など、浮木様は七日七晩池を回り続けたと言われている。
神をも畏れぬ秀吉の行いを、明神池の神様は決して許さなかったということかもしれない。
この他、国家の一大事が起こる前にも浮木様が姿を現すと言われており、戦前においても何度か目撃されています。最近では2011年6月25日の朝にお参りに来られた方が伝説通りの完璧な浮木様に出会った。
それは長さ4mほどの太い木で、上には右手に青草が生い茂り、左手に亀が一匹乗っていたそうで、湖畔に漂っている流木や周囲の倒木は樹皮が剥がれて土色になっているか、腐って黒ずんでいるかのどちらかですが、その木は上に草が生い茂っているにもかかわらず真っ白で美しかったという。
7.「池の水神「白龍」が立ち昇る」
明神池のお膝元、池峯の集落に住む人の話。
家族3人で池神社にお参りをしていたところ、突然水面がザワザワし始め、池の中央から大きな水柱が立ち、それはまるで滝を逆さにしたようなもので、「龍神が池から飛び立たれた」と思い、3人で手を合わせた。その不思議な水柱を見たことによって、「この世にならぬものが存在する。池には龍神が住んでいる」ということを深く確信したとか。
別の村人によると、ある日「御神事」をしている時、いつもは静かな池がザワザワと波立ち始め池のほとりの「餌やり場」にたむろしている何十匹もの鯉が大慌てで蜘蛛の子を散らすように逃げたかと思うと見る見るうちに池が泥で濁り、池の半分が真っ赤に染まり、やがて池の中央に巨大な白蛇のようなものが現われ、はっきりと肉眼でも確認できたらしい。
驚きで立ちすくんだが、大急ぎで拝殿に戻り、つい先程お供えしたばかりの生卵を取ってきて池に投げ入れた所、池は瞬く間に静かになった。
他にも、10mはあろうかという大蛇が二匹つがいで目撃されていたりと、
どれも1995年代の話だそうで、もしかしたらひっそりと大蛇が生きているかもしれませんね。
大蛇は明治時代の終わり頃にも出現したことがあるらしく、その時は一週間ほど連続して姿を見せたと言います。大きな鯉か、鯉の群れの見間違いではないかとも言われています。
確かにこの鯉の群れを見ているとそんな気がしないでもないが果たして…。
鯉の餌やり場。
皆さん、非常にふくよかです(笑)。