僕は、多分、SUGIZOのファンではない…。
「LUNA SEA」はずっと好きだけど、「BUCK-TICK」や「D'ERLANGER」や「ZI:KILL」にはならなかった。
それこそLUNACY時代から、その存在には注目していたし、「黒服限定GIG」に憧れもした。
インディーズ時代にライブも見に行ったし、音源はほぼ全て買って聴いてきた。
それでも、思えばこの30年、SUGIZOについて何か強い思いがあったことはなかった。
…
というのは、実は「嘘」で…
嘘というか、なんというか、、、。
自分の曲作りにおいて最も影響を受けたのは、何気にLUNA SEAだったりするし…
10代後半に使っていたギターは、ESPのSUGIZO Modelだったりもします。
でも、なんだろう。SUGIZOを意識したことってほとんどないことに気づかされます。
もちろん彼の言動は注視してきたし、色んな活動をしているのも知ってる。
彼の音源はほぼ持ってるし、彼のインタビューも色々読んできている。
政治的な発言も聞いているし、世界の各地をソロで飛び回っているのも知ってる。
けど、SUGIZOという一人の人間についてあれこれ考えたことはなかった気がします。
「雲の上の存在」というよりは、「遠い親戚のお兄さん的存在」??
ギタリストでいうと、今井さん&星野さん、瀧川さん、KENさん(ZI:KILL)は「雲の上の存在」。
でも、SUGIZO&INORAN、JACK(Gilles de rais)、KOICHIさんなどは「お兄さん的存在」。
なので、「遠い憧れの存在」ではなかった、ような…。
…
でも、ギタリストとして、実は一番影響を受けてきたのがSUGIZOだったりするのかな…
と、ふと思う時がこれまでに何度かありました。
ですが、SUGIZOを「対象」として見ることはほとんどなかったかな、と。
知らず知らずのうちに、自分の中にSUGIZOのギターが入ってきたというか…。
意識的には「それほどでも…」なんだけど、無意識的にはすごく影響を受けている!?
…
そんなSUGIZOですが、2020年の最後の最後にとんでもないアルバムを出してきました。
その名も…
愛と調和
です!
このアルバム、これまでの彼のどの作品とも重ならない新たな「音世界」を構築しています。
「商業的」には多分あまり注目されないアルバムかもしれませんが、、、
「アート的」に、これ、とんでもない作品ですよ…💦
まずは、SUGIZOご本人のインタビューを…
「救済のアンビエントミュージック」!?
SUGIZOは、まさにそう言っています。
まさにこの作品は「アンビエントミュージック(Ambient music)」の一枚だったんです。
多分、あんまり音楽に詳しくない人は「は? アンビエント? なんじゃそりゃ?」ってなるかもしれません。
Ambientとは「環境」のこと。Ambient musicは「環境音楽」。
僕もこの10年くらい、実はもうほとんどAmbient系、Chill-Out系が主流になってまして…。買うCDも、そういう系の音楽がメインになっているんです。
そんなアンビエント系サウンドをSUGIZOが1枚の作品として完成させたんです。
【収録曲】
01 Nova Terra
02 Childhood’s End
03 A Red Ray feat. miwa
04 追憶
05 ENDLESS ~闇を超えて~ feat. 大黒摩季
06 The Gates of Dawn
07 Mindfulness
08 CHARON ~四智梵語~
09 光の涯 feat. アイナ・ジ・エンド(BiSH)
10 So Sweet So Lonely
【全曲コメント】
本作一曲目に収録されている01の「Nova Terra」。こちらは、YouTubeでupされているので、ちょっと聴いてみてほしいです!
多分…きっと、「は? 何これ??」って思うんじゃないかな?!…って💦 でも、何か作業をしたり、ちょっと手を休めて目を閉じて聴いてみると…、あるいは、部屋を真っ暗にして、瞑想する感じで聴くと…全然違った「音の楽しみ方」が感じられるのでは??、と思うんです。それこそが、アンビエント音楽の最大の魅力なんです! と、同時に、これ、めっちゃ「ギターサウンド」ですよ。ここまでギターの音が主役になっている楽曲というのも珍しい。しかも、ギターの音を「ヒーリングサウンド」にしてしまうとは…orz...
02のChildhood's endは、訳すと「子ども期の終わり」、なんてタイトルだ…苦笑。01のNova Terraとのつながりもよくて、そのまま01の世界観を深めていくような展開。物悲しいギターのリフレインがとても美しく、またその奥で鳴り響くシンセ音や自然界の音がなんとも神秘的で…。自然界とデジタル界の融合を感じるサウンド。途中、X JAPANか?!って思うような女性のウィスパーヴォイス(フランス語?!)が入っていて、ちょっとドキッとします。シンセでは、「モジュラーシンセ」を採用していて、「新しい技術」による新しいサウンドを体感できるかと思います。↓の動画でモジュラーシンセの音づくりを知ることができます(凄い…)
03のA Red Rayで、初めて「歌入りの曲」が登場します。歌い手さんはシンガーソングライターのmiwaさん。アンビエントサウンドに合わせて歌う幻想的な曲。とてもクリアでトランスパレントな声で、心地よい気持ちに誘われます。生ドラムがなく、しっとりとしたバックサウンドなんですが、そこにSUGIZOの激しいギターがのっかるところ(ギターソロ)がもうホント幻想的で破壊的で美しいんです。フルートの音も入っていて、どこか遠い世界に連れていかれる気分になります。
04の追憶の出だしが、めっちゃLUNA SEAっぽい! そこにピアノの音が入り、まさにアンビエントの世界へと向かっていきます。ギターとピアノの背後で「風」のような音がうっすらと響いていて、そこがなんともチルアウトな感じです。音だけの曲ですが、どこか「追憶」って感じがして、ノスタルジーを呼び起こしてくれます。バイオリンの音も、アンビエントな感じで、これもSUGIZO WORLDだなぁ…って。家での在宅勤務中にこれを聴きながら作業をすると、集中できるかなぁ。このアルバム全体を通して、ホント、「在宅勤務中」にかけておきたいBGM的楽曲ですよ…。
05のENDLESSは、LUNA SEAの真矢との関係の深い大黒摩季さんが友情出演!?で実現した曲。アニメ「ジビエート」のエンディング曲(のアルバムバージョン)。これまた、出だしは「ENIGMA」みたいな感じで…(涙)。歌としては、まさに大黒さんの曲になってて、聴いていて嬉しくなりました。僕ら世代は、み~んな、大黒摩季さんの歌を聴いて青春時代を過ごしましたからね。でも、しっかり「愛と調和バージョン」になっていて、この曲もこのアルバムではアンビエント音楽になっているなぁってとっても感心しました。いいなぁ…。SUGIZOのギターソロもまたとてもカッコいいんです! ドラムは真矢でなくkomakiさんという方。
06のThe Gates of Dawnは、タイトルがいいですね~。曙の入り口? 僕が大好きなENIGMAみたいな感じで始まり、徐々にSUGIZOが登場してくるみたいな?? そこに、空間系のシンセが入り、美しいピアノの調べへ、と。朝5時くらいの湖のほとりにいるかのような…。そして、SUGIZOのバイオリン&ギターの音がそこに入り込み、音の大合唱へと展開していきます。これもまた、アンビエント感半端ないなぁ…。「音」を「楽しむ」「感じる」「味わう」。そこに、女性の美しいコーラスも入り込み…。
07のMindfulnessは、まさかの「マインドフルネス」の曲!? 無と無我への教育を考えている僕にぴったりの曲。ホント、この曲を聴きながら、瞑想したり、目を閉じてただ「今」に集中したり…。これは、アンビエントというか、もうヒーリングミュージックそのもの? しかも、それをギターで表現するんだから、もうただただ「圧巻」。僕も、こういう音楽、作りたくなってきた…。もはや、これは「ギタリストの作品」ではない?! 水の音とギターの音の重なり具合がもう神秘的過ぎて…。
08のCHARON~四智梵語~は、真言宗の思想世界を音にしたもの…!? もう、ちょっとこれはヤバいでしょ。アンビエントの世界を超えて、仏教の世界観がそのままに反映されている!? シタールっぽい音も入ってる? 更に僧侶のお経のような歌のような声も入っているし、自然界の音までも入ってて、口笛?も入ってて、なんじゃこりゃ?っていう。これ、ちょっとむちゃくちゃ好きだ…。(でも、LUNA SEAやSUGIZOのファンでもついていけないかも??)
09の光の涯は、…これ、『ONENESS M』(2017年)に入ってた曲だ…(当時はMORRIEさんが謳ってた…。歌詞もMORRIEさんの曲!)。SUGIZOらしい美しいギターアルペジオから始まる曲で、今回は「女性ボーカルバージョン」という感じ? なんか全然違う曲に聴こえるのが面白い。『機動戦士ガンダム THE ORIGIN 前夜 赤い彗星』のエンディング曲らしく、ホント、アニメのエンディング曲って感じがした。(でも、アルバムで聴くと、これがアンビエントになるという…💦)
最後の「So Sweet So Lonely」は、あのDEAD ENDの名曲!!この作品に収録されているSo Sweet So Lonelyは、もう本当に本当に凄い…。聴いてて「魂」が見えてきた気がする。バイオリンの音にもYOUさんの魂が入り込んでいるような…。これはSUGIZOにしか出せない音だ…。でも、YOUさんが弾いているようにも聴こえて…。天国に向けて放たれた音? 言葉にならない…。最後のパイプオルガンの音は、もう本当に…😿 こんな凄い終わり方?をするアルバムって、邦楽では初めて聴いたかも…。本当に終わりというか…。(キリスト教徒のお葬式のような…)
このアルバム、ホント凄いです…。
何が凄いって、一枚のアルバムの「コンセプト」が本当に素晴らしくて…。まさか、こういうアンビエントミュージックを、SUGIZOの作品として体感できる日が来るとは…って。。。
ギタリストのアルバムには思えないんだけど、でも、どの作品よりも「SUGIZO」のギターが常に鳴り響いていて…。バイオリンも存分に楽しめて…。更に、モジュラーシンセの音も存分に楽しめて…。
ただ、日々、ロックとかポップスしか聴いてない人からすると、「なんじゃ、こりゃ!?!?」ってなりそうですね。Aメロ~Bメロ~サビみたいな分かりやすい展開の曲はほとんどないから…。
それ相当以上の音楽好きの人向けのマニアックな作品でありつつ、また、デパートとかホテルのラウンジとかでも流すことのできる汎用性の高い作品にもなっている、という。。。あるいは、夜のお店とかでもBGMで流せるんじゃないかな??
それに加えて、(楽曲にもありますが)マインドフルネスの実践にも使えそうな作品になっています。
あと、(ヴィジュアル系ファン向けに言うと)方向性としては、かつての「Optic Nerve」(室姫さん×YUKIHIRO)に通じる作品かな、とも。あの作品も、あの当時としては「異例中の異例の作品」でしたからね…。
…
この数年、人に「どんな音楽が好きなんですか?」って聞かれると、ずっと困っていたんです。「アンビエント系」とか「チルアウト系」とか「ラウンジ系」とかって言っても、「は????」って感じで、、、(苦笑) 更にマニアックに言うと、「midnight erotic lounge系」が好きでして…💦
こういう感じです。
最近は、こういう系の音楽がもっぱら主流で、ロックだとかポップスだとかジャズだとかクラシックだとかって、あまり聴かないんですよね…。もちろん嫌いになったわけじゃないけど、今の僕にマッチしないというか…。もっとプリミティブな音世界に触れていたいというか…。最後は、きっと「水の音」とか「森の音」とかに行きつくんだろうな…(;^ω^)
今回のSUGIZOの【愛と調和】は、まさにそんな境地を切り開く挑戦的な作品でもあると思います。
それこそLUNACY時代から大好きなギタリストですが、2020年の今、彼の「音世界」の魅力に、もうただただ驚かされています。凄いよ、SUGIZO…。本当に凄い、「凄い」としか言いようがないくらいに凄い一枚でした。
みなさんもどこかで一度、今のSUGIZOの音世界に触れてみてください!!