すごく久しぶりのレポとなってしまいました。
千葉市で僕が最も「凄い!」と思う究極の伝統的なラーメンを出すお店、
鳳華飯店
に久々にやってきました。
…
久しぶりになってしまったのには、理由があるんです。
今年(2021年)に入ってから数か月、ずっと「休業」していたんです。
「どうしたんだろう?」って思いつつも、そのまま月日は流れていってしまいました。
そして、いつからか、営業再開されたのですが、夜営業がなくなっていて、昼のみの営業になっていたんです。これについても「どうしてだろう?」と思っていたのですが、そのまま月日が流れていきました。
「何かおかしい」と思いつつも、4月からの猛烈な忙しさで、鳳華飯店に行けないまま、8月を迎えてしまいました。
…
この8月になって、鳳華飯店でいったい何があったのか、何が起こっていたのかが分かりました。それを知った時、かなり僕はショックでした。「ええ、なぜ、どうして?」って。
ここでは詳しく書きませんが、想像を絶する悲しいことが起こっていました。僕自身もショックを受けるほどに。(自分も心からショックだったので、言葉にしたくないので、しません)
そんなとてつもなく悲しい状況なのに、お店を再開してくれていたんです。
夜はとてもじゃないけど、営業できないだろう、とも思いました。というか、営業を再開してくれただけで、もうそれだけで感謝の気持ちです。
鳳華飯店は、耐えがたい悲しみを背にして、そして、それを乗り越えるべく、昼営業のみで営業を再開しています。
11:00-14:00まで、です。
また、この13日~15日までは夏季休業となるみたいです。
この点はご注意を!!
鳳華飯店に来るのは、本当に久しぶりなんです。
これまで何度も何度も来ましたが、どれを食べても美味しいのがこのお店。
でも、僕にとっては、なんといってもここでは「ラーメン」です。
昔ながらの昆布煮干し鶏ガラ豚骨スープ
=鳳華飯店の「ラーメン」
です!
これまで約20年にわたって、ラーメンの食べ歩きを続けてきました。
日本全国、国境を越えて世界各地のラーメンをいっぱい食べてきました。
その中で、「最もベーシックで且つ最も美味しいラーメン」がここのラーメンでした。
ラーメン王国ニッポンですから、魅力的なラーメンや激ウマラーメンは他にもいっぱいあります。
でも、伝統的でクラシカルで歴史的でそして普遍的なラーメンの最高峰というと、僕はやっぱりここの「ラーメン」を挙げたい気持ちに駆られます。
あまり共感はされないかもしれませんが、僕の感覚でいうと、ここが「最高の記念碑的ラーメン」だと思うんです。今回はそれを改めて確認するためにも、ここのベーシックなラーメンを頂くことにします。
ジャジャーン!!
こちらが一杯税込630円の「ラーメン」です!!
ご覧ください、この素朴でシンプルで且つ圧倒的存在感を誇るこのヴィジュアルを。
もしラーメンの辞典を写真付きで作るなら、このラーメンを表紙にしたいくらい…。
ラーメンを食べて食べて食べて食べてきて、そしてたどり着いたその先にあった一杯のラーメン。
メンマ、小松菜、なると、チャーシュー、ネギ、というシンプルなトッピング。
そして、スープの表面が黄金色にキラキラ輝くオイリーなあっさりスープ…
zoom up!
スープを飲むと、「おお、この味だ…」って。
煮干しと昆布の風味を強く感じる鶏・豚を使った醤油スープ。
シンプルに言えば、「昭和時代の究極の煮干し醤油ラーメン」。
イマドキの煮干しラーメンとは一線を画す、統合された味わいの煮干し醤油スープ。
鳳華飯店のような町中華系のラーメンとしては、破格の美味しさ、破格のパンチ力。
このお店は、唐揚げ定食やニラレバ炒めがとても有名ですが、改めてここのラーメンを食べると、とんでもないラーメンを出すお店だよなぁ、、、って思いました。
麺はこんな感じです。
中細の縮れ麺。
昭和の屋台で出てきそうな縮れた優しいソフトな麺。
煮干し醤油スープと一緒に食べると、もうそこは昭和のニッポンの超人気ラーメン店の世界。
昭和なんて、もうはるか昔のことのように思います。
その昭和時代に出ていた「本当に美味しい煮干し醤油ラーメン」がそのまま残っているという感じ。
味も、時代の制約を受けます。味も、時代に応じて変わっていきます。昔のラーメンより今のラーメンの方がレベルは高いとはいえると思います。使っている食材の量も違います。品質だって、昔より今の方がはるかにいいものを使っていると思います。ここのラーメンは、イマドキのお店ほど大量に高品質の食材を使っているとは思いません。
それでも、技術があれば、ここまで美味しくなるんだ、って。別にブランド豚や高級煮干しを使わなくても、これだけ美味しいラーメンを作ることは可能なんだ、と。600円ちょっとで、目ん玉飛び出そうなほどに美味しいラーメンを提供できるんだって。安くて、美味しい。それを可能にするのは、職人の技術なんだろうな、と思います。
それに、古臭さが本当にないんです。昔ながらの中華そばという感じじゃない。シャープでキレがあって煮干しの風味が強烈に迫ってくる元気な味わいなんです。
最後は、昭和時代の最大の味変アイテムである「胡椒」を投入!!
こういう昔ながらのラーメンには胡椒がとんでもなくよく合うんです。
胡椒の効いた煮干し醤油スープ、この魅惑の美味しさゆえに、スープも最後まで飲み干してしまいました(最近は、できるだけ飲み干しはしないようにしているのに…😢)
うん、これこそが、本当のラーメンだなぁって改めて強く思いました。
***
冒頭にも書きましたが、鳳華飯店は途方もない悲しい状況を乗り越えるべく、営業を再開しています。
ただ、いつまで営業できるのか、今後どうするのかなどを含めて、色々思案しているようでした。
昨年までであれば、まだまだこのお店はずっと営業してくれるんだって思えていましたが、今はそうではありません。いつ、どうなるか分からない状態なんだ、とみなさまにお伝えしておきたいと思います。(だから、このお店がご無沙汰な人は是非ここのラーメンを食べに行ってほしいと思うんです)。
ラーメン店も、やはり「作る人」があってのお店です。作る人がいなくなれば、そのラーメンはもう存在しないのですから…。今はまだ食べられる。でも、…って。
また、ここの「本当に美味しいラーメン」を食べたことのない人は是非食べてほしいなぁと願います。食べる価値のある一杯ですから🔥
僕は、わりとリベラルな人間ですが、進歩主義者ではないんです。今より未来の方が優れているとは思わないし、過去より今の方が優れているとも思いません。過去を見つめる目は常に大事にしたいと思っています。
こういう情報発信型のブログをやっていると、どうしても「話題店」「新店」「最新店」に目がいってしまうんです(そっちの方がアクセス数が稼げるから…)。
でも、本当に「凄い」「崇高だ」と心から思えるラーメンって、そういうところにはないんですよね。本当に崇高さを感じるラーメンって、開業して数年でできるわけがないんです。「売れるラーメン」なら作れると思います。でも、「崇高なラーメン」は無理なんです。(それは、教師にも通じることかな…。ウケる授業は若手にはできても、崇高な授業は若手には無理、みたいな…)
二郎だ、家系だ、G系だ、濃厚ドロ煮干しだって、日々騒がれていますが、それだけが「ラーメン」じゃない。そうじゃないラーメンで凄いラーメンってそういうところじゃないところにあるんです。
もちろん、「美味しいかどうか」を決めるのはお客さんでありましょう。他人がどうこう言うものじゃない。でも、「美味しいかどうか」だけが、判断の基準でもないんです。「食べる価値があるかどうか」と自らに問うこともできるんです。「そこでしか味わえないラーメンか否か」「歴史性を感じるラーメンであるか否か」「他に代えのきかないオリジナルのラーメンか否か」「そのラーメンに物語があるか否か」「後世に残すべき一杯であるか否か」。
YouTubeで有名なラーメン店主さんが「美味しいかどうかを決めるのはお客様だ」と連呼していました(こちらの動画とか)。ええ、美味しいかどうかを決めるのはお客さんです。でも、美味しいかどうかだけが、お店の判断基準じゃないんです。五感に基づく感覚的な判断は確かに有力な判断形式です。ですが、それとは異なる理性的判断というのもあるんです。それこそ「そのラーメンの価値を問う判断」と言ってもいいかもしれません。
恋愛も同じだよな。「好きかどうか」が重要かもしれないけど、それだけがその基準じゃない。「愛する/愛される価値のある人かどうか」を問うこともできる。
勝ち負けにも通じる話かも。勝ったかどうかで判断するのではなく、勝ちにせよ負けにせよ、その戦いに価値があったかどうか、意味があったかどうか。
つまりは、勝ちかどうかじゃなくて、価値があるかどうか。
価値を問える人間でありたいなって、改めて思いました°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°
ベースとなるのは、カントのこの本でした~。
判断とは何か。一度、考えてもいい究極の問いです💓