Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

ドイツ初の赤ちゃんポスト【BABYKLAPPE】が誕生して、24年が経ちました

少し前ですが、、、

今年の4月8日に、ドイツ初の赤ちゃんポストが24周年を迎えました。

そのことについての記事がありました。

オリジナルの記事はこちら!(Besserwisser Kalender

久々に翻訳したいと思います。

日本ではまだ、こんな肯定的な記事は出てこないなぁ‥って思いながら…。


Vor genau 24 Jahren, am 8. April 2000, wurde in Hamburg-Altona ein Meilenstein für den Kinderschutz und die anonyme Hilfe für verzweifelte Mütter gesetzt: die erste moderne Babyklappe Deutschlands wurde eingeweiht. Dieses Datum markiert den Beginn einer neuen Ära der sozialen Fürsorge, die bis heute Nachhall findet.

ちょうど24年前、2000年の4月8日に、ハンブルクのアルトナ地区で、子どもの保護と絶望した母親への匿名の支援にとっての画期的な出来事が起った。この日、ドイツで初となる現代的なベビークラッペ(Babyklappe=赤ちゃんポスト)が開設されたのである。この日を境に、今なお反響し続けている社会的養護(社会的養育)の新しい時代が始まった。

Die Babyklappe, ein Projekt des Vereins Sternipark, bot eine sichere Alternative für Mütter, die sich außerstande sahen, für ihr neugeborenes Kind zu sorgen. Verborgen hinter einer unscheinbaren Stahlklappe, befand sich ein Wärmebett mit Sensor, in das Neugeborene anonym gelegt werden konnten. Bei der Abgabe eines Babys wurde ein Alarm ausgelöst, sodass Mitarbeiter des Vereins sich unverzüglich um das Neugeborene kümmern konnten.

非営利団体(フェアアイン)のシュテルニパルクのプロジェクトの一つ、ベビークラッペ(赤ちゃんの扉=赤ちゃんポスト)は、自分が産んだ新生児を養育する状況にないような母親に、ある確固たるオルタナティブ(代替方法)を提供した。目立たないスチール製の扉(クラッペ)の奥には、センサーの付いた温かいベッドがあり、そこに新生児を匿名で預ける(託す)ことができる。赤ちゃんが預けられると、アラームが作動して、それにより、団体のスタッフがすぐに駆けつけ、新生児の養育を行うことになる。

Die Einrichtung dieser Klappe war eine direkte Reaktion auf tragische Fälle von ausgesetzten Säuglingen, die die Stadt erschütterten. Sie bot verzweifelten Müttern eine anonyme und sichere Möglichkeit, ihr Kind in fürsorgliche Hände zu geben, anstatt es auszusetzen oder Schlimmeres.

この扉(クラッペ=赤ちゃんポスト)の設置は、この街(ハンブルク)を震撼させた遺棄児(3人)の悲劇的な事件に対する直接的なリアクションだった。ベビークラッペは、自身の子を、遺棄したり、またそれ以上に悪いこと(嬰児殺し)をしたりする代わりに、養育者の手に託す匿名で確実な可能性を絶望した母親たちに提供したのである

Seit ihrer Eröffnung wurden insgesamt 56 Säuglinge bei den Babyklappen von Sternipark abgegeben. Im ersten Jahr waren es sieben Babys, doch die Zahlen sind inzwischen deutlich zurückgegangen. Dies wird auf die gestiegene Zahl von Babyklappen – mittlerweile gibt es rund 100 in Deutschland – und verbesserte Lebensumstände für Mütter, wie Elternzeit und mehr Kitaplätze, zurückgeführt.

ベビークラッペの開設以降、合計56人の赤ちゃんがシュテルニパルクのベビークラッペに預け入れられた。最初の年(2000年)は、7人の赤ちゃんが預け入れられたが、その数は明らかに激減した。これは、ベビークラッペの数が大幅に増えたこと-そうこうしている間にドイツで100か所ほどのベビークラッペができた-と、両親の育児休暇や保育園の増設など、母親の生活状況が改善されたことに起因している。

Die Babyklappe in Hamburg-Altona und ihre Nachfolger haben über die Jahre hinweg zahlreiche Leben gerettet und verzweifelten Müttern eine niedrigschwellige Hilfe geboten. Sie stehen symbolisch für eine Gesellschaft, die bereit ist, in schwierigen Zeiten unterstützend einzugreifen.

ハンブルク=アルトナ地区のベビークラッペとそれに続くベビークラッペ(の設置者たち)は、長年にわたり、たくさんの命を救ってきたし、絶望した母親たちに敷居の低い支援を提供してきた。ベビークラッペは、象徴的な意味で、(克服)困難な時に支援の手を差し伸べる用意のある社会を示している

Heute, 24 Jahre später, feiern wir nicht nur die Existenz dieser Einrichtungen, sondern auch die Fortschritte, die in der sozialen Unterstützung und im Kinderschutz gemacht wurden. Die Babyklappe in Hamburg-Altona bleibt ein wichtiges Zeugnis dafür, wie Innovation und Mitgefühl Hand in Hand gehen können, um Leben zu retten und Familien eine zweite Chance zu geben.

それから24年後の今日、私たちは、このベビークラッペの存立だけではなく、社会的支援(社会的養護)と児童保護における発展についてもまた祝いたいと思う。ハンブルク=アルトナ地区のベビークラッペは、命を救いつつ家族に二度目のチャンスを与えるために、いかにイノベーションと共感(思いやり)が共に手を携えられるかを示す重要な証言であり続けている


この文章は、短い文章ではあるものの、かなり社会的な意義に着目した文章になっています。

日本で、これだけの意義のある文章を書けるメディアってあるのかな?とふと思います。

日本でも、赤ちゃんポスト「こうのとりのゆりかご」ができて、17年になります。が、きちんとした二か所目の赤ちゃんポストは生まれていません。

と同時に、この赤ちゃんポストから、社会的養護や子どもの保護にかかわる発展もほぼほぼありません。若干、望まない妊娠に悩む女性へのSOS相談支援は拡充していますが、危機的状況での匿名での預け入れはほとんど行われていません。

緊急下の母子にも、その他の緊急下の状況に置かれた人たちにも、支援を差し伸べる手は、ほとんどありません。その選択肢もとても限られたものになっています。

今日、こんなニュースが出ました。


自宅マンション隣にあるアパートのごみ置き場に生まれたばかりの乳児を置き去りにしたとして、警視庁捜査1課は3日、殺人未遂の疑いで、母親の職業不詳、北川望歩容疑者(22)を逮捕した。調べに対し「自分が出産したことがばれたくなかった。殺意はなかった」と容疑を一部否認している。

逮捕容疑は6月20日ごろ、練馬区羽沢のアパート敷地内のごみ箱に、生まれた直後の男児を捨てて殺害しようとしたとしている。男児は遺棄された十数時間後にアパート住人に発見され、搬送時に貧血を起こしていたが、現在は健康な状態だという。

捜査1課によると、北川容疑者は昨年秋ごろから、現場隣のマンションでいずれも20代の男性1人、女性2人と同居。事件当日の早朝、浴室で男児を出産した直後に現場に男児を置き去りにしたとみられる。男児は蓋の閉まったごみ箱の中で口の開いたポリ袋に入れられていたという。

現場周辺の防犯カメラ画像などから北川容疑者の関与が浮上。捜査1課は発見が遅れた場合、男児が死亡していた可能性もあったとして、殺人未遂容疑での立件に踏み切った。今後、生活実態や経緯を詳しく調べる。

引用元はこちら


またしてもか、、、と思わざるを得ませんが、、、

今回は、練馬区ということで、都内での新生児遺棄事件でした。

この記事にある母親の言葉、「自分が出産したことがばれたくなかった。殺意はなかった」という言葉は、とても重たいものです。

赤ちゃんポストは、こうした「妊娠や出産」が「ばれたくなかった」と思う妊婦たちのための「敷居の低い支援」なんです。この「敷居の低い」という言葉は、とても重要な言葉です。

地方自治体の行政サービスは、その逆で、「敷居の高い支援」になっています。敷居が高いというのは、物質的な意味というよりは、精神的・心理的な意味での「高い」です。

妊娠や出産のことが絶対にばれたくない母親にとって、行政機関というのは、とてつもなく恐ろしいところなのです(それが分かっていない人がこの国には多すぎると思います、、、)

それは、ドイツとて同じことで、だから、赤ちゃんポストだったんですね。

日本でも、特に首都圏には、やっぱり絶対に一つ、二つの赤ちゃんポストが必要だと思います。ドイツでは、あっという間に100か所にまで増えたんですから、、、

熊本に続く赤ちゃんポストが特に首都圏で生まれることを願っています。

赤ちゃんポストと敷居の低い支援については、拙書を是非ご覧ください!

蓮田先生と二人で書いた僕の大切な大切な一冊です!

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