僕は、講義で、聴くことや待つこと、理解すること、何もしないことの意味について論じている。
真面目な卒業生のkさんは、聴くことの意味を理解してくれて、一生懸命聴くことをやっている。
しかし、聴けば聴くほど、彼女は辛くなるらしい。そして、『しっかり聴いて、力になってあげたい』と思う。その結果、自分が追いつめられていく、という負のスパイラルに陥りそうになっている。
『聴くこと』と『力になること』は分けなければならない。聴くことは、河合先生風に言えば、『何もしない』ということに近い。『力になろう』という気持ちを捨てること、そして、ただ相手の言っていることを理解しようと努めること。
聴くことは、理解することを目指す。理解はそんな簡単なことではない。力になろうと思う前に、きちんと理解しなければならない。ちょっと聞いたくらいで、相手を相手に即して相手の世界を理解することなどできるわけがない。
相手を理解する、それがあれば、ある程度の危機はその人自身で乗り越えられる。
男女、夫婦の危機も、そのほとんどが無理解によるものだ。人間、『あ、この人は私を分かっていない』『私を分かろうとしていない』ということの積み重ねで、別れを決意する。相手の辛さ、悲しさ、苦しさに耳を傾けて、それをなにも言わずに受け止める。それは何よりも難しいことで、苦しい作業なのだ。
育児もそうだ。父親は、母業ね手助けをすることはしても、母業の辛さを理解し、尊重することはできない。極論を言えば、下手に手助けをして偉そうな顔をするよりも、日々の育児に苦しむ妻を理解し、ねぎらい、やさしい言葉を一つかけてあげることのほうが、(母的には)嬉しいし、力が出てくるのではないか。
聴くことは、理解することであり、何もしないということ。
これを正しく理解し、実践できる人はどれだけいることだろうか。
僕は、徹底して、相手の力にならないように努めている。ただ、理解することを一生懸命している。だから、口癖は、『あなたの言っていることがよく分からない。だからもっと聴かせて』となる。
『~したら?』とか、『~すべき!』とかは極力言わない。『役に立つ助言』は絶対に言わない。役に立つ助言ほど胡散臭いものはないから。
理解することは、半端なくしんどいことだ。時間もかかる。そのことは忘れてはならない。対人援助関係は、力になることではなく、理解することが目的であり、終着点なのだから。
m(__)m
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