『Dr.keiの研究室2』では初登場かな?
僕の大好きなおじいちゃん。このブログでは不定期でおじいちゃん、おばあちゃんのことを書いています。
僕は、自分のルーツをすごく大事にしている。どれだけ「過去」を否定しても、その「過去」があって「今」がある。否定できる過去と否定できない過去がある。僕は自分のルーツである「過去」を、しっかりと自分のものにしておきたいと思う。(ちなみにおばあちゃんは写真が大嫌いなので、なかなか写真が撮れない・・・)
うちのおじいちゃんももう95歳。外見的にはもうかなりの高齢だ。町中を歩いていても、ここまで高齢の人が歩いている姿はなかなかお目見えしない。しかし、うちのおじいちゃんはバイタリティーたっぷりで、ちょくちょく街に出てはいろいろと楽しんでいる。身体的にはホントすごい高齢。腕もすっかり細くなって・・・(10年くらい前はとってもふくよかだったのに・・・) でも、精神は年をとらない。うちのおじいちゃんは今もまだ毎日新聞を読み、ものを書き、日々学んでいる。
赤ちゃんポストの話をしたら、おじいちゃんは間をおかずにこういった。
「ああ、赤ちゃんポストね。知ってるよ。もう五人くらい預けられたんだって? あれはいいね。困った女性にとってはとてもいいことだよね。なかったら死んじゃうんでしょ。うん。おじいちゃんは赤ちゃんポストに賛成だな!」
おお、すごい。赤ちゃんポストの真髄をすでに理解しておられる・・・ あれれ、おじいちゃんって結構保守派じゃなかったっけ?! その意外性にびびった・・・ 意外とリベラルなんだ・・・
そんなおじいちゃんは日本の歴史が大好き。今日は「卑弥呼」について語ってくれた。僕自身、「日本」の誕生についてとても興味がある。僕的には「大化の改新」が日本の誕生だと思っている(これは僕なりの解釈)。でも、おじいちゃんは「邪馬台国」の時代に力点を置いている。「魏志倭人伝」、、、僕も読まなきゃって思わされた。ただ「魏志倭人伝」って中国の記録だし、どういう意図でどういう手続きを経て書かれたのかよく分からない(僕の不勉強も大いにあるが)。
おじいちゃんは、「卑弥呼」、「邪馬台国」という漢字の表記に対して意義を申し立てていた。色々言っていたけど・・・ あまりにもマニアックすぎて、僕は理解できなかった(苦笑)。
おじいちゃんを見ていると、ホント「知性」は色褪せないなあと思った。「記憶」はたしかに曖昧になっていく部分はある。けれど、おじいちゃんは「考えること」の基盤をしっかりもっている。95歳になってまだ「問いを立てている」。
なんか、『考える底力』みたいなものを感じずにはいられなかった。体力的にはたしかに衰えていく。しかし、知識や知恵は枯れていかない。むしろ、どんどん豊饒していく。特に、若いときに得た知識は本当に色褪せない。ホント、おじいちゃんを見ていると、若いときにしっかり勉強していたんだなあと思った。
僕も今、まさに今、しっかり学ばねば!と思った。読書量を増やすのと同時に、確かな知識/知恵を身につけておきたいと思う。特に実用的でない教養的な知識。高齢になればなるほど、実利的な問題はつまらない問題になっていく。おじいちゃんも、「もう欲しいものも、買いたいものも、得たいものもないよ」、と笑顔で言っていた。高齢になれば、物欲は消える。これは確かなことのようだ。
じゃあ、何が残るのか。きっとそれは、「知識欲」なんだと思う。「知りたい」と思う衝動は歳をとってもなくなることはない。ただし、長い人生の中で、常に「知りたい」という衝動を大切に保ち続けた、というこれまでの糧があっての話である。おじいちゃんの他にも、最後まで「問い」を持ち続けたすばらしい賢者の老紳士を知っている。若い人との対話も積極的に行っていた。
人生は、「ありときりぎりす」なんだと思う。きっと最後の最後になって、自分の人生の全体が見えるんだと思う。その時、自分はどう自分を捉えるのだろう。悔いのない人生かどうかは、ずっと後になってからはっきりと分かるのだろう。その時までは、目先の欲望に囚われず、目を見開いて生きていきたい。
おじいちゃんと会う時間は、自分を別の視点で捉えなおす異時間なのかもしれない。一度今の自分を崩して、再構築する時間ともいえなくもない。
会える時に会っておきたい。まだ会えるんだから・・・
ちなみにうちのおばあちゃんはかつてすごい美人だった。僕自身、かつてのおばあちゃん以上の美人はまだ見たことがないくらい。。。そのことをおじいちゃんに聴いてみた。「おじいちゃん! おばあちゃんは昔すごい美人だったんでしょ?」、と。そうしたら、グフフと笑って、「おばあちゃんはね、絶世の美女だったんだよ」、と嬉しそうに言った。さらに、「でもね、この絶世の美女という言葉は、僕の友人で朝日新聞の記者だったA君が言った言葉なんだよ」、と。ほお~~~ 絶世の美女だったんだ?!
さすがおばあちゃん♪