Dr.keiの研究室2-Contemplation of the B.L.U.E-

[独コラム]すみませんのない国ドイツと、すみませんばかりの国日本。

 

もう何度もドイツには来ているというのに、毎回やはり驚かされる。ドイツでは、とにかく色々とよくどこかが故障している。しかも、それを直すのがとにかく遅い。部屋の中の冷蔵庫は壊れていたし、ファーストクラスの電車のコンパートメントのクーラーは故障しているし、座席の頭にあたる部分はぶっ壊れているし、いくつもの電車の扉が壊れて開かないし。乗客のドイツ人は、「ドイツの電車のエアコンはいつもどこかが故障している。全くもう…」、と憤っていた。さらには、車掌は電車の中で座席に座って携帯電話でしゃべっているし、また、喫煙所に行けば、ドイツ鉄道職員が制服のまま、プカプカと美味しそうに煙草をふかしているし。それをとがめる人は誰もいない。

日本人的には、実にありえない。きっとホテルの客や電車の乗客たちは怒り狂ってしまうだろう。メディアも面白おかしく叩くだろう。実際、どうでもいいことなのに。駅員だって、人間だ。喫煙者は煙草を吸いたいだろう。それを外野がごちゃごちゃいう国って、日本以外にあるんだろうか。うるさい国日本と中島なにがしという哲学者が嘆いていた。とにかくうるさい日本。全部がルーズで適度なゆるさのある国ドイツ。

だいたい、ほとんどの電車が5分くらいは遅れている。15分遅れくらいなら、日常茶飯事。今日も、僕は3回乗り換えをして目的地に向かったのだが、二回目の乗り換えの時に、電車が遅れて、乗りたい電車が既に発車してしまっていた。なのに、謝るアナウンスも何もない。凄いと言えば凄い。これで、乗客が文句を言おうものなら、「そんなの、俺のせいじゃない!」と言って、一蹴されるだろう。ある意味で、素敵だ。

さらにショックなことがあった。今日、ギュータースロー駅から施設に向かうバスの中でのことだ。

僕はバスの後部席、後ろの扉の正面に座っていた。あるバス停に到着して、4歳くらいの子どもとその母親が降りようとした。その瞬間、重厚感のあるバスの扉が突然締りだし、4歳の子の左手を完全にはさんでしまった。ちぎれるんじゃないか、と思うほどで、びっくりした。子どもは自分に何が起こったのか分からずにパニックになっている(だが、泣いてはいない)。それで、即刻、僕は座席を飛び上がり、ドアを足と手を使ってこじ開けた。火事場の馬鹿力というか。壊すかというくらいの勢いで、こじ開けた。子どもの手はとりあえずくっついていた(苦笑)。大丈夫そうだった。僕が、その子に、「大丈夫か?」と聞くと、かるくスルーされた。ショックだったのだろう。母親もそのシーンにショックを受けつつも、怒りで爆発寸前だった。そこで、普通なら、運転手が駆けつけて、謝罪するはず。さすがにドイツとはいえ、ちゃんと謝るだろう、まず謝罪だろう、と思いきや…。

20代後半~30代くらいの運転手がとりあえずドア付近にやってきた。が、「大丈夫ですか? 僕がやったんじゃないですから。オートで閉まるようになっているから、私の故意ではありません。(子どもに向かって)大丈夫か?」、というのみなのだ。これにはあきれた。しかも、もっと驚くことに、他の乗客が一人いたのだが、その男性までもが、「これは、自動で閉まるんだからな。ちゃんと見てないとダメだよ。仕方ないよ」、と言い出す始末。おいおい、お前、何言ってんだ?!、とちょっとキレそうになった。が、しかし、その母親も母親で、どうかと思う。それは、僕がその子どもを助けた時に、ありがとうも何も言わない。おい、普通、まずは「ありがとう」だろ!?と思った。が、しかし、僕の方は一度も見ずに、車掌を睨み付けている。うーん。どっちもどっちというところか。それがドイツという国か。ただ、絶対的に泣き寝入ったのは母親の方だ。

ドイツという国はやはり異国だと思う。普段、日常会話では、Dankeとみんな、誰もが連呼するんだけど、こういう時に、Dankeが出てこない。それから、自分に非がなければ、本当に誰も謝らない。よく「外国に行ったら、謝ってはダメ」というけれど、全くその通りだと思う。それは、謝ったらダメというよりは、誰もすぐに謝らないよ、という意味で正しいと思う。謝るだけ無駄、というか。逆に言えば、日本人は謝りすぎじゃないか。もっとふてぶてしくてもいい気もする。乗客にペコペコ頭を下げる駅職員は見たくない。もっとふてぶてしいくらいの方がいい。それは、車掌のみならず、どこでも。15分電車が遅刻して、それを乗客が怒り出したら、「そんなの知るか、私のせいではない!」くらいはせめて言ってほしい。これから、僕ももっと謝らないようにしようと思う(苦笑)。それで嫌われたら、「それが世界の常識です」と答えておこうか。ますます嫌われそうだな。

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