1990年(平成2年)に三洋から登場した旧要件ハネモノ「ノックアウト」
★賞球:オール13
★ハネ開閉時間…オトシ0.4秒、ヘソ0.6秒×2
★最高8ラウンド継続(10カウント)
★大当り中は役物に玉を2個まで貯留
★兄弟機…「ノックアウトII」(ゲーム性は本機と同じ。盤面、賞球(7&13)及びゲージ構成が異なる。)
当時の地元駅だった、私鉄O線・YL駅の「パチンコL」での新台入替(平成2年秋)以来、よく追っかけた機種だ。
このL店には、同社の「スタジアム」(ダイヤル回転盤のハネモノ名機)が置いてあり、また新要件初期には「サーカスIII」(スライド式ハネと回転体が特徴の15R機)を早々に導入した。デジパチでも「ハロウィン」や「ブルーハワイ」などを入れて、三洋との繋がりが強い店だったと思う。
三洋以外のハネモノでは、「スーバーブラザース11」(西陣)、「め組1番」(京楽)、「パチンコ大賞13」(西陣)、「レッドライオンアルファ」(西陣)などで、西陣の台が多く入っていた。新要件初期には、大量獲得型の「ニューモンロー」も導入している。
また、L店には京楽「ダービー」、西陣「ファンキーセブン」、マルホン「パールセブン」といった香ばしい旧要件デジパチもあり、連日通った記憶が蘇る。権利物では「スーパーロボット」(西陣)、一発台は「ベータ」(ニューギン)、そしてスロは2号機時代が「アラジン」と「ビッグパルサー」、3号機時代に「スーパープラネット」と「アラジンII」が設置されていた。
立ち食いそば屋が換金所の時代があったり、安達祐実のドラマ「家なき子」でロケが行われたりと、なにかと記憶に残る、地元密着型のホールであった。
(現在のL店。90年当時は全く外観が異なり、無数の電球がちりばめられたネオンが光っていた。)
(大当り時のヤクモノ内…本機はヤクモノ貯留式で、ボクサーの足元に最大2個貯留。)
ご覧のように、本機最大の特徴ともいえるのが、ヤクモノ内で怒りの表情を浮かべる、スキンヘッドのボクサーだ。盤面やハネの付け根に描かれた二人のボクサーは髪がフサフサだが、役物のメインキャラはなぜかツルツル頭で、今にも血管がキレそうな顔をしている。
ただ、当時のハネモノならば、これくらいの愛嬌やコミカルさがあって、然るべきだろう。黒髪フサフサの二枚目キャラでは、ハネモノ独特の「チープさ」に欠ける恐れもある。
ハネに拾われた玉は、まず上段の透明なステージに乗っかり、ヤクモノ奥へと転がる。この時、両サイドに逸れた玉は、そのままボクサーの左右脇から下段ステージに落下し、手前Vゾーン両脇のハズレ穴に入り易い。
一方、玉が上段ステージを中央に向かうと、ボクサーのグローブ(両腕)の間を通って、お腹の穴にいったん入賞した後、下段奥の足元から再び現れて、手前Vゾーン目指して直進する。これが、本機における大当りの典型パターンといえる。
ただ、上段ステージ中央には山型の「突起」も付いており、ボクサーの腹に玉を入れるのは、決して容易ではない。
さらに、下段ステージには円形の赤い「水平回転板」があり、時計方向に回転している。この回転板の動きが、ボクサーの足元から出てきた玉の直進を妨げるのだ。また、回転板には3つの小さな突起があり、さらに玉の動きをランダムにする。
このように、上段両サイドから落下した玉がハズレ易い上、下段回転体がV入賞を邪魔するパターンも多く、V入賞率は総じてキツめだったと記憶する。オール13で玉持ちは良いものの、初当りの悪さに苦労させられ、ハネモノにしては結構な額(それでも数千円だが…)をヤラれた事もある。
大当りになると、ボクシングの定番ともいえる映画「ロ〇キー」のテーマ曲が流れ、それまで直立不動だったボクサーが首を振り、さらに両腕を「ワン・ツー」と左右交互に動かし始める。こうなると、左のハネから拾われた玉が左腕に、右のハネに拾われた玉が右腕にそれぞれ当たり易くなり、両腕の間から腹の中に入賞するチャンスも大きくアップする。
しかも、大当り中は、通常開いているボクサーの両足が閉じるので、腹に入った玉が足元に貯留されるようになる(タテ型に最大2個貯留)。また、大当り中は回転板も停止する為、ボクサーの足元で貯留解除された玉がまっすぐ転がり、かなりの高確率で正面Vゾーンに入賞する。もちろん、役物の傾斜やクセも重要となる。
なお、貯留解除のタイミングは、ハズレ玉7カウント後orハネ15回開閉後である。解除後は、下段の回転板が再び動き始めてしまうので、V入賞はかなり困難となる。当然、早い段階で貯留させておくのがポイント。
基本的に、本機のヤクモノはV継続し易い作りになっていて、貯留さえあれば不安も少ない。しかし、肝心の実戦では、大当り中にハネが拾った玉がなかなか貯留されずに、早いラウンドでパンクを喰らう展開も少なくなかった。それゆえ、苦労して3000個の打止めに届いた時は、終了確認のアナウンスを聞きながら、何とも言えぬ達成感を味わったものだ。
因みに、当時のL店ハネモノコーナーには、玉が700個ほど入る、青い半透明の小さいドル箱(小箱)が置いてあった。出玉のボリューム感にこそ欠けるが、手元の小箱が2箱、3箱…と、ジワジワ増えていくのが、却って楽しかった。
たとえ打ち止めまで行かずとも、元手が数百円で二箱(1500発)も出せば、収支は3000円強(2.2円交換)で「チョイ浮き」となる。「十分遊べた」という充足感があり、当時はこの程度の勝ち額でも大いに満足できた。