美唄市にかつて、短期大学がありました

2013(平成25)年3月をもって在籍ゼロに、同年6月8日に閉学式を行いました。それからの活動の記録です。

美唄市の「受動喫煙防止条例」

2015年05月18日 12時14分19秒 | 美唄など地域のこと
「受動喫煙防止条例」が政争の具!?
北海道・美唄市の拙速すぎる条例

ジャーナリスト 山田厚俊=文


3月19日付けブログの続きです。
http://blog.goo.ne.jp/senshu-hc/d/20150319

拙速「受動喫煙防止条例」の不可解
北海道美唄(びばい)市――。石狩平野のほぼ中央、
札幌から急行で約30分の距離に位置しているまちだ。
「美唄」の由来は、アイヌ語の「ピパオイ」(カラス貝の多い所)だという。
沼地、河川の多い土地で、カラス貝が多く獲れたからだそうだ。
かつて道内有数の炭鉱都市として栄えたが、
1973年に最後の炭鉱に火が消え、今や人口は2万3,892人(2015年2月末現在)、
過疎化の一途を辿る典型的な地方自治体だ。

そんな小さなまちが、にわかに注目を集めている。
その理由は「受動喫煙防止条例」だ。
市では13年に10カ年計画「びばいヘルシーライフ21(第2期)」を策定。
その中で「通学路における喫煙を防止するための条件整備」
「敷地内・施設内禁煙を実施する公共施設の増加」を明記した。
続いて市は、14年12月1日に「受動喫煙防止対策ガイドライン」をまとめた。
同時に、条例化も視野に入れていることを明らかにした。
神奈川県、兵庫県が条例を制定しているが、
市町村では初の条例化となる。

問題はその後の「動き」だ。
ガイドラインからわずか3カ月後の今年2月、
「3月2日から始まる3月市議会定例会に条例案が上程される」との情報が流れてきたからだ。
通常、どの自治体でも条例案策定については学識経験者や専門家などで制定委員会などを設置し、
多くの声を聞きながら1年ほど時間をかけて検討していくもの。
ところが、わずかな期間、パブリックコメントを集めただけで
すぐさま条例化しようというのだから注目が集まるのも当然だ。

15人で構成される市議会の一人、A市議は
「あまりにも拙速。条例制定にはプロセスが大切です。
もし仮に緊急提案されたとしても、廃案にするだけです」と、にべもない。
A市議は、条例の趣旨は理解するものの、手続き論としては横暴だと一刀両断するのだ。
別のB市議も「市民には寝耳に水の話。
焦って進める条例ではない」と、同じく素っ気ない。
A市議によれば、15人中10人は拙速だとの理由で反対に回るだろうと読む。

では、なぜ市はこのように急ぐのか。
市政関係者はこう明かす。
「高橋幹夫市長は今年6月に改選を迎えます。
4年前、初当選した市長選では坂東知文・前副市長との一騎打ちで、
僅か5票差で初当選しました。今年の市長選で、
再び坂東氏出馬のウワサがあります。
そこで、高橋氏は何としても“実績”を手にしたいため、
功を焦ったのではないかと、もっぱらです」

「市町村初の条例」で再選狙う?
ここへ来て“実績”を手にしたいというのは、
“何も実績がない”の裏返しなのだろうか。
ところが、「それは違う」と、前出のA市議は語る。

「市は深刻な行政赤字を抱え、高橋市長は財政健全化を余儀なくされてきた。
思い切った予算の使い方など出来るわけもなく、
固定資産税や軽自動車税などの市税引き上げや手数料の引き上げなど、
市民の負担増という“嫌われ役”を買って出た」

市財政赤字の大きな原因は市立病院だという。
病院職員の人員削減や給与引き下げにも取り組んだが、
今なお一般会計からの繰り入れなしには運営は厳しいという。
「それでも市立病院を再建しなければ、
高齢化が著しいこの市は成り立たない」(A市議)

身を切る改革を進めている中で、改選期が3カ月後に行われるのだ。
そこで、「市町村初の条例」を引っ提げて
再選を狙うつもりだとの見方が広まっているのだ。

別の市政関係者は声を潜め、こう明かす。
「昨年、医師会が条例制定に向けた請願を出した。
医師会は医療行政の要であり、逆らいにくい。
また、穿った見方をすれば、市長に対して票をまとめる代わりに早く条例を作れと言っているようなもの。
だから、高橋市長は必死なんじゃないでしょうか」

たとえ、ウワサにしか過ぎない話も、
事を強引に進めようとすれば
尾ひれ背びれがついて真実味を増してくる。
「そうならないためにも、
じっくり時間をかけて検討する必要があります」(前出・B市議)

もう一つ、問題がある。“通学路問題”だ。
市当局の担当課長は2月17日、
記者の電話取材に対し電話でこう答えた。

「具体的には、通学路における喫煙の防止が挙げられ、
条例化へと動き出したのです。ただ、
教育委員会などで話をすると、通学路の定義がない。
主要道路とかすべてなってしまうような話で、
現実的ではないんですね」

不可解なコメント、不自然な答弁
当初は子どもたちの受動喫煙防止をするべきだとの話があり、
通学路を禁煙ゾーンにしようとした。しかし、
通学路がないため、市全域に網掛けしたというのだ。
通学路がないことが本当だとしたら、そちらの方が由々しき問題ではないか。

そこで記者は3月13日、教育委員会学務課に足を運び確認すると、
小学校5校、中学校4校の通学路の資料コピーを貰った。
「それぞれの校長が指定し、教育委員会が追認するというものです」(同課)

では、なぜ通学路を喫煙禁止区域に指定するのではなく市全域を禁煙の網掛けにしたのか、
なぜ取材に対し誤解を招くような発言をしたのか。
疑問は募るばかりだ。その答えを聞こうと担当部署に名刺を渡してきたが、
担当課長からの連絡はなかった。

さらにもう一つ、不可思議な点がある。
高橋市長就任後、各条例の策定や改正案、
計画案などについてパブリックコメントを求めたのは計36件。
約1カ月の募集期間を設けたが「意見の提出なし」は18件。
実に半数が「意見なし」だった。
一番多いもので「5名から意見あり」にしか過ぎない。

しかし、13日の市議会でパブコメについての質問に対し、
「約400件集まっている」と回答した。
明らかに不自然で、相反する利害関係者たちの“組織票”だとの見方がある。

地方自治にも関心を寄せる慶應義塾大学経済学部の金子勝教授は言う。
「受動喫煙の問題を規制しようとした場合、批判されにくい。
だから、各自治体は“やりやすい条例”ということになります。
しかし、販売店をはじめ、宿泊業や飲食業など規制によって大きく損失を招く恐れもあります。
加えて、たばこは税収としても大きいものがある。
財源として捉えた場合、ただ単に規制すればいいという問題ではない。
だからこそ、広く市民の声を集めるべきです。
どのような分煙にすればいいのか、喫煙所を多く造ってそれ以外は禁煙にするとか、
または全面禁煙とかやり方は多数ある。
それを無視して強引に進めようとするのは“不純な動機”と受け取られても仕方ない。
強引な安倍晋三首相をマネしなくてもいいじゃないかと言いたい」

条例は、その地域に住む人たちのルールだ。
決して“政争の具”にならないことを祈るばかりである。

http://blogos.com/article/108014/より


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