スティーヴ・マックイーンが肺癌で死んでから、もう25年になろうとしている。60年代半ばから70年代末までアメリカ映画のスターといえば、断然マックイーンだった。人気投票でも男優部門第1位はマックイーンの指定席だった。特に日本での人気は、男女を問わず、圧倒的だったように思う。もちろん私もマックイーンの大ファンで、彼の映画が封切られると喜々として映画館に足を運んだ。スクリーンの彼は無条件でカッコ良かったのだ。まさに彼は時代のヒーローだった。
マックイーンを一躍有名にした映画は「荒野の七人」だった。当時テレビでは彼が主役のガンマンを演じる「拳銃無宿」が放映されていた。その後、「大脱走」でマックイーンの人気は決定的になった。この映画で彼は捕虜収容所から何度も脱走を試みる兵卒を演じた。失敗しても決してめげない男だった。
マックイーンはハリウッド的美男俳優ではないが、好男子だった。苦みばしったイイ男で、しかも茶目っ気があった。といっても女を誘惑するような色男タイプではない。彼にはお世辞とか饒舌とかは似合わない。男らしい行動によって、言うならば背中で、女を引き付けるタイプなのだ。それは彼が演じた役柄を見れば解る。「シンシナティ・キッド」ではポーカーの賭博師、「ブリット」ではマスタングを乗り回す刑事、「栄光のルマン」ではレーサー、「ジュニア・ボナー」では荒馬を御するロデオの男、「タワリング・インフェルノ」では被災者を救出する消防士だった。こうした主人公はみな男の憧れでもある。マックイーンの映画には女の入り込む余地はあまりない。映画の中に彼を愛する女は登場するが、あくまでも脇役に終わることが多かった。彼と共演して存在感を示した女優は、「華麗なる賭け」のフェイ・ダナウェイと「ゲッタウェイ」のアリー・マッグローくらいだった。
マックイーンが癌で闘病生活を送っているとの報道がもたらされたのは、70年代の終わりだった。ファンはみんな暗い気持ちになった。痩せ衰えたマックイーンの写真を見て、みんな心を痛めた。そして、1980年に彼は50歳の若さで死んだ。映画ファンにとってこれほど惜しまれる死はなかった。
マックイーンを一躍有名にした映画は「荒野の七人」だった。当時テレビでは彼が主役のガンマンを演じる「拳銃無宿」が放映されていた。その後、「大脱走」でマックイーンの人気は決定的になった。この映画で彼は捕虜収容所から何度も脱走を試みる兵卒を演じた。失敗しても決してめげない男だった。
マックイーンはハリウッド的美男俳優ではないが、好男子だった。苦みばしったイイ男で、しかも茶目っ気があった。といっても女を誘惑するような色男タイプではない。彼にはお世辞とか饒舌とかは似合わない。男らしい行動によって、言うならば背中で、女を引き付けるタイプなのだ。それは彼が演じた役柄を見れば解る。「シンシナティ・キッド」ではポーカーの賭博師、「ブリット」ではマスタングを乗り回す刑事、「栄光のルマン」ではレーサー、「ジュニア・ボナー」では荒馬を御するロデオの男、「タワリング・インフェルノ」では被災者を救出する消防士だった。こうした主人公はみな男の憧れでもある。マックイーンの映画には女の入り込む余地はあまりない。映画の中に彼を愛する女は登場するが、あくまでも脇役に終わることが多かった。彼と共演して存在感を示した女優は、「華麗なる賭け」のフェイ・ダナウェイと「ゲッタウェイ」のアリー・マッグローくらいだった。
マックイーンが癌で闘病生活を送っているとの報道がもたらされたのは、70年代の終わりだった。ファンはみんな暗い気持ちになった。痩せ衰えたマックイーンの写真を見て、みんな心を痛めた。そして、1980年に彼は50歳の若さで死んだ。映画ファンにとってこれほど惜しまれる死はなかった。