背寒日誌

2024年10月末より再開。日々感じたこと、観たこと、聴いたもの、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

F・W・ムルナウ監督作品『ファウスト』(1)

2024年10月28日 13時53分09秒 | ボンクラ店長の雑記
10月27日(日)昼の部「澤登翠&柳下美恵サイレント映画の旅」@壱岐坂ボンクラージュ
上映作品『ファウスト』(Faust ―Eine deutsche Volkssage)



1926年/ドイツ ウーファ /107分/DVD上映
監督:F・W・ムルナウ 製作:エリッヒ・ポマー 原作:ゲーテの戯曲、ルドウィッヒ・ベルゲル「失われし楽園」 脚本:ハンス・カイザー 撮影:カール・ホフマン
出演:イェスタ・エクマン(ファウスト)、エミール・ヤニングス(メフィストフェレス)、カミラ・ホルン(グレートヒェン)、ヴィルヘルム・ディーテルレ
文豪ゲーテの戯曲を基に古いファウスト伝説も加えてシナリオ化し、ドイツ表現主義映画の名匠ムルナウが監督。ムルナウの妥協しない演出と撮影所スタッフの優れた技術力により、映像美と特殊効果の粋を極めた記念碑的作品に仕上がっている。悪魔メフィスト役は、ドイツの名優エミール・へニングス。ウーファ(ドイツの映画会社)が巨額を投じて製作したが、採算は取れなかったという。ムルナウはその後フォックス社に招かれて渡米し、名作『サンライズ』を撮る。


以上がチラシに掲載した作品のデータと私が簡単に記した解説である。


メフィスト(ヤニングス)、若返ったファウスト(エクマン)、グレートヒェン(ホルン)

 古い外国映画を調べる時、私は、Internet Movie Data-base(IMDb)をまず参照しているが、『ファウスト』についてIMDbに投稿されているトリビア(コメント)をいくつか紹介(英文和訳は私)しておこう。このコメントは映画ファンが匿名で投稿したものなので、根拠となる資料が明記されておらず、真偽のほどが疑わしいものも多い。
●この映画は、1年後に『メトロポリス』が製作公開されまでは、最も製作費をつぎ込んだドイツ映画だった。
●撮影は6か月かかり、200万マルクの費用がかかった。しかし興行収益はその半分しか上がらなかった。
●ムルナウは、リリアン・ギッシュにグレートヒェンの役をやらせたかったが、リリアンはお気に入りキャメラマンであるチャールズ・ロッシャーが撮るべきだと主張した(※根拠となる資料が分からず、真偽不明)。で、ムルナウは代わりにカミラ・ホルンを登用。カミラは、ムルナウ作品『タルチュフ』(1925年)で、女優リル・ダゴファーの吹き替えをやっていて、その時ムルナウはセットでカミラと出会っていた。
●ファウスト役には、ジョン・バリモアが候補に上がったが(※根拠となる資料が分からず、真偽不明)、最後は、スウェーデンの俳優イェスタ・エクマンになった。
●ハンス・カイザーの脚本で映画がすでに撮られた後、ウーファー社はカイザーの脚本が気に入らず、彼の反論を無視して、ドイツの作家ゲアハルト・ハウプトマンに脚本を依頼した。しかし、ウーファー社はハウプトマンの脚本がそれ以上に気に入らず、結局、映画はカイザーのオリジナル版で公開された。
<つづく>


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