背寒日誌

2024年10月末より再開。日々感じたこと、観たこと、聴いたもの、読んだことなどについて気ままに書いていきます。

小松政夫とイッセー尾形のびーめん生活2012

2012年04月30日 01時33分40秒 | 演劇
 イッセー尾形さんと小松政夫さんの二人芝居を観に原宿のクエストホールへ行ってきた。4月28日から30日までの三日公演で、今日(29日)の日曜は昼の部と夜の部の二回あるが、私が観に行ったのは夜の部。午後6時開場、7時開演。
 午後4時半ごろ原宿に着く。日曜で天気も良く、表参道は人が溢れるほど多い。開場まで1時間以上あったので、クエストビル4階の蕎麦屋へ行く。松原庵という店で、本店は鎌倉の由比ガ浜にあるそうだ。ノンアルコールビールとせいろを注文。カウンター席からの眺めが良く、大通りを歩く人々が見下ろせ、街路樹の緑もまばゆい。この蕎麦屋は初めて入ったが、そばは手打ちで腰があり美味く、ツユの味も醤油とダシの味がほど良い。せいろが一番安く、900円だったが、まあこの立地条件でシャレた奇麗な店なので、値段は良心的だと言えるだろう。蕎麦を食べ終わり、文庫本を読む。江藤淳の遺作「妻と私」と「幼年時代」を収録した本で、これを読むのは二度目。江藤淳は私が愛読する文芸評論家の一人で、この著書は胸が詰まる内容である。まず、吉本隆明と石原慎太郎の追悼文を読む。石原慎太郎の文章は亡き盟友への万感の思いがこもった名文だと思う。
 5時半過ぎに3階のクエストホールへ。まだ開場前だが中に入れてもらう。この一年半ほど私はイッセーさんの公演が東京であるたびに必ず足を運んでいる。事務所の女社長の森田清子さんとも親しくさせていただいている。ロビーでは若いスタッフが開場前の準備で忙しそう。スタッフに指示を出している清子さんを見つけたので声を掛けると、「あら、ちゃんと来たのね」と嬉しそうな表情。ソファに演出家の森田雄三さんと小松政夫さんがいらしたので挨拶。小松政夫さんとは初対面だったので、自己紹介し名刺を差し上げ、ちょっとだけ話す。購買部で小松さんの本「のぼせもんやけん」上下巻と雄三さんの新書本「間の取れる人、間抜けな人」を買い、小松さんに二冊ともサインしてもらう。小松さんの半生記二巻本は映画化の話があるらしいが、小松さんが「車のコロナが今ないみたいでね」と言っていて、その時はどういうことか意味が分らなかった。が、休憩時間に小松さんの本の第一章を読むと、高校を出て博多から横浜へ来て、しばらくトヨタ車のコロナのセールスマンをしていたとあり、納得。小松さんに植木等さんの本を書いた戸井十月さんと私は知り合いだと言うと、「へえそうなの。あの人、まだバイクで世界を回っているの」と尋ねられる。戸井さんはバイクで五大陸横断を終え、その後体調を悪くしていると伝える。
 ホールの入口の方へ行くと、なんと池袋の新文芸坐の元支配人(現・顧問)の永田稔さんがいて、森田清子さんと話しているではないか。奇遇である。永田さんも「なんで君がここにいるの」といった表情。永田さんには5年ほど前に私が新文芸坐に錦之助映画祭りの企画を持ちかけて以来、いろいろとお世話になっている。永田さんはずっと以前からイッセーさんのファンだと言う。新文芸坐の開館の時には高田文夫さんの紹介でイッセーさんが一人芝居をしに来てくれたのだそうだ。清子さんともその時からの知己らしい。
 そうこうするうちに開演。席は前の方の真ん中のいい席で、Eの9番。小松政夫さんとの二人芝居を観るのは今日が初めてである。(つづく)


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