上海帰りのリルです。

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てんしゅものがたり

2009-07-21 23:01:00 | From 東京
 先週、ベニちゃんと並んで立ち見で、歌舞伎座の4階で「天守物語」を見ました。

 姫路の白鷺城の最上階には、美しい姿の異形の者たちが住んでいる…というお話。

 白鷺城の美しい富姫さまは、その日、「おねえさま」と慕う亀姫ちゃんが遊びに来るというのにお出かけになっていた。戻ってくると、「亀ちゃんが来るっていうのに、人間たちが鷹狩りをしてうるさいから、夜叉が池の雪さんに、雨風で人間たちの騒ぎを妨害してって頼んできたの。」とのこと。

 しばらくして、赤くて大きくて目立つ姿の朱の盤坊が大きい声で「たのもー!」と亀姫ちゃんが来たことを知らせ、富姫さまへの取次ぎを…とやってくる。

 この亀姫ちゃんからのおみやげというのが、男の生首。その首は、亀ちゃんとこのお城の主の首。そして、その首の顔は、富姫さまの住む城の主の顔にそっくり。というのも、亀ちゃんとこのお殿様と富姫さまのとこのお殿様は兄弟だから。富姫さまは、この生首のおみやげを喜んで、自分たちの守り神である獅子頭に供えると、獅子は口を開いて、それを飲み込んだ。

 ふたりの姫は手まりをついたりして楽しく遊んだが、もう帰る時間に…。ちょうどそのとき、地上では、鷹狩りをしていた人間たちが帰ってくる。富姫さまたちはそれを見る。殿様の連れている白い鷹がすばらしい。富姫さまは、その白い鷹を亀ちゃんのために捕ってあげた。

 そして、夜、暗い中、富姫さまがひとりでいると、このお城の殿様につかえる人間・図書之助(ずしょのすけ)が来る。図書之助はいなくなった鷹を追ってここまで来たと富姫に話す。天守閣の最上階、富姫たちの住むところは、ほんとうは、人間の来る場所ではない。本来なら、富姫はここに来た人間の命を奪わなければならないのだが、図書之助がどうどうとはっきりと来た理由を話したので、「COOL!(涼しい言葉)」と言って、帰すことにした。

 それで、図書くんは一回帰ったのに、灯りが消えちゃったとかでまた戻ってきて、そのとき、富姫さまは、図書くんの顔をじーーーっと見て、「帰したくない」なんていっちゃったりして…いきなり目がハート。ここで、図書くんはお殿さまの鷹を逃がしてしまった罪で、切腹しなければならないということが判明。そして、富姫さまは、「その鷹を捕ったのは私よ。」と言う。「だいたい、鷹には鷹の世界があるのよ。それを自分のものだなんて言うのは人間の勝手よ。」と言う。図書くんはその言葉に感動し、ふたり見つめあい、ラブラブモード。でも、図書くんは、「下にいる上司(お殿さま)の命令で来たんだから、帰らなきゃなんない。人に仕える身っていうのは、そういうものなんだよ。」と言って帰ろうとする。富姫さまは、この人は引き止められないな…と思って、「じゃあ、お餞別にいいものあげる。」とお殿様の宝物の兜をあげるのでした。図書くんは「どうしてお殿さまの宝物が姫君のところに?」と驚くが、ありがたくもらって、下へ戻っていきました。

 ひとりぽつんと残った富姫さまのところに姫さまのことはなんでもわかっている薄が来て、なぐさめる。「また、ご縁がありますよ。」

 姫さま、それから俯くばかり。

 薄は下を見下ろして実況中継。「大勢の人がおたまじゃくしみたいに見える中、図書さまは一際かっこいい!光ってる!」でも、図書くんが、姫さまにもらった兜を殿さまに見せたらたいへん、殿さまは、図書くんがそれを盗んだと思い、家来たちに図書くんを斬るように命じる。

 図書くん、また、富姫のいる城の天守閣まで逃げてくる。

 姫が図書くんと一緒に獅子頭の下に潜ると、獅子に姿が変わる。その姿で、追ってきた人間たちを迎えうつが、獅子の目を斬られると、図書くんも、姫も、目が見えなくなってしまう。ピンチ!そのとき姫が、「ほら、誰の首だ!」と亀ちゃんからのおみやげの首(殿さまの顔にそっくり)を投げると、人間たちは、「殿さまだ!」と恐れおののき、逃げていく。

 人間たちは去って行ったが、富姫さまと図書くんは、また、あの人間たちは戻ってくるだろう、そうしたら、もう助からない…と思う。「助けられなくてごめんね、図書くん。」「いいえ、姫君、あの者たちに斬られるくらいなら、姫の手にかかって死にたい。」と言い、ぎゅっと抱き合う。

 すると、なんだか神さまみたいなおじいさんが突然現れて、「ふたりの愛に感動した!私はこの獅子頭を彫った桃六だよ。」とかなんとか言って、持っていたノミで、獅子頭の目をコツコツと彫ると、獅子の目が開き、富姫さまも図書くんも目が見えるようになりました。

 急にハッピーエンドのお話でした。

 ベニちゃんは、どのくらいわかったでしょうか。とりあえず、立ち見は足が疲れたね。

 富姫さまは美しく、図書さまはりりしかったです。