冷たい風は容赦なく吹き付けるベンチに背中を丸め、どこを見るでもなく、仕方なく地面を眺めつづけ、その先はない、瞳を閉じるだけ、用事もなければ、約束もない、暖かなところへは行けず、暖かな食事は取れず、空腹だけが汚れきった身体にまとわりつく、誰かと話すこともせず、せめて独り言を呟くだけ、誰かに愛を乞う訳でもなく、誰かを怨む訳でもなく、嘆き疲れたのか、ただじっと耐えている、ただじっと孤独に耐えている姿を幾度となく目の当たりにしていくと、胸が熱くなっていった。
あのクリスマスのパーティーにいた人たちは、この孤独を知っているのだろうか、身を引き裂かれんばかりの寒さと空腹に耐えている人たちをほんとうに知っているのだろうか。
「しかし知っていれば、どうなると言うことだ」もう一人の私が呟く。
「お前、何を裁いている?他人を裁く前に、お前に出来ることをただ丁寧に行え。そして、忘れるな、この孤独を・・・。お前もこの孤独を分かっていない、そのことは忘れるな・・・」
私も分かっていない、誰かの孤独を。
私は誰かの孤独を比べるようなことはしてはいけない、そこから祈りは溢れ出してきた。
ただ目の前の人に愛を届けることにのみ、私を使えばいいことを身に刻み込むように学び直した気がした。
愛を出し惜しみすることなく、神さまのために美しいことをするように誓う、ボランティアだった。