Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「ささらさや」 ハートフルストーリー

2014-05-12 08:27:04 | ミステリ小説
                    



ミステリ小説ではありませんが、内容的には一人の女性の生きる姿をとうして、身の回りに起きるちょっと不思議な出来事を事故で急死した夫が
幽霊となって現れ彼女を助ける、そんなミステリ要素のあるハートフルな連作小説です。夫の両親や義理の姉が赤ん坊を育てるのは大変だろうから子供を引き取るといった話になり
その話から逃れるように好きだった伯母が残してくれた小さな家がある町に引越し生活を始めるサヤ。そんな引っ込み思案で泣き虫のサヤが出会った人々に支えられ母親としてひとりの
女性として成長する姿が描かれています。そして出会う人たちのとても心温かくサヤを助ける様子が読んでいるこちらの胸に響きます。ちっと謎めいた出来事も見守っている
夫の幽霊が特定の人物の口を借りて彼女に知らせて助けます。いろいろな出来事を女性らしい筆致で描かれていてサヤの生きる姿にもとても素直に感動します。

                        

  

クリフォード・ナイト著 「ミステリ講座の殺人」

2014-05-12 07:31:07 | ミステリ小説
                        


古い作品ですが今読んでもけっこう楽しめます。日本ではあまり知られていない作家ですが本国アメリカでは当事の探偵小説がブームのころ
活躍した実力派としてその名を残しています。この本も本格的謎解きパズルのミステリです。探偵役はハントゥーン・ロジャーズという大学教授という設定です。
事件の発端からして不思議な様相で、深夜に食事を知らせるドラが鳴らされ滞在客や館の使用人などが起きだしたところ館の女主人の良きパートナーが殺されているのが
発見されます。女主人は高名なミステリ作家で自分の館でミステリ講座を開き人を集めていました。滞在客も個性豊かな面々で会話もけっこう洒落ていて群の保安官があまり
頼りにならないと見たそれぞれが知恵を出し合い事件の真相を調べ始めます。しかし、謎の発砲事件があり次の殺人が起きます。連続殺人とすれば隠されたミッシングリンクは
有るのか?動機が見えないため調べもなかなか先に進みません。そして次には女主人が失踪します。作中でまるでアガサの失踪だよというセリフがあり笑わせます。
一連の出来事には何が隠されているのか。それぞれ滞在客の行動を調べ手がかりを見つけ推理をしてハントゥーン・ロジャーズが真相に至ります。
この本の特徴は、当事流行っていた趣向でしょうが巻末に作中に散りばめられた手がかりの一覧が記載されていることです。なんと29もの手がかりがあり
何ページであるとかそ場のセリフや行動を指摘しています。ただ思うと探偵役の大学教授ハントゥーン・ロジャーズですが、あまり個性的な人物ではないところが
難点といえます。もっと読者を惹きつける魅力的な人物であれば日本でも他の作品がいろいろ出版され、もっと知られる作家となったのではないかと感じます。
しかし、この本に限って言えばなかなか楽しめるパズル小説です。クラシックなスタイルの作品ですが一読の価値はあります。
海外小説は会話が洒落ているというのがひとつの魅力ですね。