Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

オカルト・ミステリーの佳作。

2013-10-27 09:16:55 | ミステリ小説


 このゴシカはあの「シックス・センス」を彷彿とさせる内容でオカルト・ミステリとしてはよく出来た佳作といえます。
 ロバート・ダゥニー・Jrなども出ていますが、今の活躍ぶりをみるとこの作品の役柄は少し物足りないところでしよう。
 犯罪心理分析官だったミランダが夫殺害容疑で逮捕され収監された女子刑務所精神病棟。そこで治療に当たっていた受刑者と同じ立場になる皮肉。
 聞き流していた、悪魔が現れてレイプをするという女囚クロエの言葉。
 その言葉がとても重要な意味を持つことに始めミランダは気付かなかったが、不可思議な現象が現れ記憶を失ったミランダは
 夫を殺害した犯人とすべての真相がクロエの言葉で繋がっていくことを知る。

 ラスト・シーンはあのシックス・センスを思い起こさせるワン・シーンで終わる。

 監督 マチュー・カソビッツ
 キャスト ハル・ベリー、ロバート・ダゥニー・Jr、ペネロペ・クルス、チャールズ・S・ダットン その他
 2003年 97分

語り継がれるミステリー。

2013-10-27 08:14:29 | ミステリ小説
昔は探偵小説といわれ、その後推理小説と呼ばれて広く読者を獲得し、今ではミステリー小説となって幅広い作風の本が世に出ています。
古今東西の名作の中には、ミステリ作家以外の人が書いた物でとても評価の高いものがあります。
皮肉なことですがその時作家の頭の中に生まれたアイデアがとても良いもので、結果としてその後ミステリファンに古典的名作として語り継がれる作品になりました

そのひとつが坂口安吾の書いた「不連続殺人事件」です。

そしてもうひとつが筒井康隆が書いた「ロートレック荘事件」です。

これは叙述ミステリですがほとんどの読者が騙されることでしょう。山荘で起きる殺人。
事件そのものはシンプルです。しかも部外者の犯行は考えられないとすると、そのとき山荘にいる関係者のなかに犯人がいる事になります。
動機さえ見抜けばアリバイのないものが自然と犯人となります。
そんな単純な事件ですが、山荘にある仕掛けや証言者の存在と語り口の妙がそうはさせません。これが語り継がれる古典としての地位にあるのはひとつのトリックのパイオニアであるからです。

その後このトリックに類似したものが数多く書かれています。
それだけ当事このトリックは斬新だったわけです。 このミステリ作家以外の作家が書いたミステリが時として名作を生み出すのは何故か?
それもひとつのミステリになります。

アリバイ崩しの名作

2013-10-20 07:14:33 | ミステリ小説
某有名サッカー元選手が、タクシー運転手とトラブルを起こし逮捕されたとのニュースが報じられた。
理由そのものは些細な事で有名税の様なものであり、一般人ならここまで大きく報じられることはまず無い出来事でした。
しかし、有名人であるからには当然この様な結果は予想し得るので、普段から社会常識やマナーを守った生活を送ることが肝心です。
当然彼も解かっていた点でしょうが心に隙ができた結果なんでしょう。さて、ミステリファンとしてはここから想像を飛躍させます。
これが仕組まれたアリバイ工作だったとしたら・・・。その時遠く離れた地点である犯罪が行われていたとしたら?
彼は鉄壁のアリバイに守られて、遠く離れた地点での事件で警察に逮捕されると云う事は絶対に有り得ない。
さて、当局はこのカラクリをどう見破るか? こういったスタイルのものがアリバイ崩しのミステリとなります。
古今東西いろいろな名作が生まれています。 心理トリックを使ったものや、マニアックな裏技を使った物〔列車ダイヤを使った物〕など様々です。
個人的には、純粋なアリバイ崩しではないでしょうが、カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」などが好きです。トリックとしては大技では無いですが
世の中には「見ると聞くとでは大違い」なんてことは良くあることで、その辺に注目したカーのセンスというかアイデアの生み出し方は面白いなと思います。



クロフツの名作「樽」や、それにインスパイアされて書いたとされる鮎川哲也の「黒いトランク」。
この他にもいろいろな名作がありますがミステリにはアリバイトリックは必要不可欠のギミックであり
永遠のテーマでもあります。

クロイドン発12時30分

2013-10-14 07:00:00 | ミステリ小説
 名作「樽」を書いたF・W・クロフツの15冊目の作品で、倒叙ミステリー三大名作と云われているうちの一冊です。普通の推理小説は誰が犯人か?に興味が集約されていて、捜査の過程や証拠品あるいは関係者の証言と
アリバイなどが読者に提示され作中の探偵とフェアに情報を共有して推理を巡らせる形式です。
しかし、この倒叙形式のミステリは犯人視点の文章で書かれ、「誰が犯人か」も「どのように犯行を成し得たか」も
読者は知り得ており、いかにして捜査当局の追及を避けるかが焦点となります。
テレビ映画の「刑事コロンボ」などがこのスタイルです。
そして捜査側と犯人の駆け引きや犯人の心理面などが描かれて、完璧と思われた計画も予想外の小さな綻びから
破たんを迎えることになる・・・。と主にこのようなものが多くあります。

この「クロイドン発12時30分」も工場経営が上手くいかず苦境に立たされていたチャールズが、叔父の財産を狙って
完全犯罪を計画し実行する様子が克明に彼の視点で描かれます。ロンドン警視庁のフレンチ警部が登場しますが
ほとんど彼の出番はありません。最後の最後に関係者が集まった席で、何故彼に注目して調べ始めたのか、
犯行方法や第二の事件が起きた理由など彼の犯罪を論理的に立証した経過を話す場面があるだけです。

法廷のシーンも検事、弁護人双方の主張がとても論理的で読み応えがあり、今読んでもとても1934年に書かれた小説とは思えない
内容と出来栄えで古典と云われるこの名作が今なおミステリファンに支持されているのも頷けます。

登場人物「三人」の密室劇

2013-10-13 08:50:39 | 日記

 この映画の登場人物は三人です。
誘拐した男二人と誘拐された女一人。女を縛りつけ閉じ込めた部屋を舞台にストーリーは進みます。身代金として大金を奪おうとする男二人。なんとか逃げようとする女。始まりの誘拐を準備する様子もメリハリの効いた演出で見せ

一気に物語の中に入り込みます。そして、シンプルな関係の三人にも秘密があることが見えてきます。裏切り、陰謀、寝返り、と複雑に絡み合って予測不能の展開が続きます。
それぞれの思惑が交差して意外なラストになっていきます。始めから最後までピンと張った緊張感もこのスリリングなシチュエーションを盛り上げています。

アリス・クリードの失踪・・・。そう失踪なんですね。タイトルの意味はラストで明かされます。

『アリス・クリードの失踪』 2009年 イギリス 101分
監督 J・ブレイクソン
出演 ジェマ・アータートン、マーティン・コムストン、エディ・マーサン

 
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