Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

『グランド・イリュージョン』洒落たオチの作品。

2014-04-29 09:12:02 | 日記
劇場では観れなかったのでDVDを楽しみにしていた。基本的にこういった話は大好きなので楽しかった。
観終わった後『ゲーム』を思い出したけど、あ、マイケル・ダグラスのアノ映画ね。この映画はやっぱり脚本の良さで、映像も演出も良いけれど
先の読めない展開で観客を引っ張っていきラストでドンデン返しをみせて驚かす。その伏線の巧みさで意外性がとても効いていると思います。
キャスティングも個性的な人たちを使ってストーリーに幅を持たせています。モーガン・フリーマンはいつ観ても画になる存在で『オブリビオン』なんかも
まぁカッコいいこと。画面が締まり存在感たっぷりの役者って彼のような人ですね。
マジシャン達は何を狙っているのか、始めはまるで分からなかったのです。でもマーク・ラファロ演じるFBI捜査官との追いかけっこが始まると
話の展開に釘付けです。メラニー・ロランも素敵で物語の花として充分の存在です。とにかく始めから終わりまで楽しめました。
こういう映画が大好きです。

   

    

『五匹の子豚』アガサ・クリスティのミステリ

2014-04-26 17:41:33 | ミステリ小説



母の無実を証明して欲しい。娘の依頼で16年前の事件を調べる、灰色の脳細胞私立探偵エルキュール・ポアロの物語です。夫を毒殺した妻。誰もが彼女の有罪を
疑いません。関係者は五人。一人ひとりに会って話を聞いて、さらに記憶を掘り起こし詳しいことを手紙で教えて欲しいとそれぞれに頼んでいくポアロ。

人が人を評するその主観は感情によって左右される。そこらへんを上手く使ったメイン・プロットですが五人の話も微妙にすれ違っていくところがこのストーリーの
面白いところです。ケンカの絶えない夫婦。ひとつの事実です。しかし、それらをひっくるめてすべてを一方向に持っていくのは誤りの元であり危険である。

ポアロはそう感じたのでしょう。丹念な聞き取り調査で辿り着いた事件の真相には意外な真実が隠されていた。
ラストの意外性をクリスティらしい物語で読ませます。用意周到の伏線とミスリード。分かりやすいといえばそうですが

でも、もやもやした感じを見せながら最後まで引っ張っていく手腕はさすがです。クリスティの作品のなかでは好きな一冊です。

   

『ユダの窓』カーター・ディクスンの密室殺人

2014-04-21 09:22:08 | ミステリ小説
ジョン・ディクスン・カーが、カーター・ディクスン名義で書いたミステリです。
カーといえば密室ですがこの本も不可能犯罪である密室物です。閉じられた部屋に殺害された男と気を失っていた男。誰も他には部屋に
出入りしたものはいない。このようなシチュエーションで始まります。多くは裁判の法廷シーンで、被告の弁護人であるH・M卿が
検察側の追求を交わし、徐々に事件の真相に迫っていく謎解きの展開が中々上手く書かれています。

始めに派手な不可能状況をみせると最後の辻褄あわせのところで苦労することになるわけですが、この作品は最後のH・M卿が話す
謎解きの説明のところもうまく書かれ違和感や不具合もなく、トリックの面白さもあって今読んでも楽しめる古典のなかの一冊であると思います。
裁判の途中でH・M卿が話すユダの窓。どこにでもあるユダの窓。それが皆には見えないという。この言葉がとても興味を惹き最後まで
読み通す原動力になっています。いったいどういうことなのか、犯行はどう行われたのか、ユダの窓の意味が分かったときに全てが
見えてくる。そんなミステリですがストーリーテラーらしいカーの筆力で法廷シーンも中々読ませます。
トリックと着地の良さでカーの作品群のなかでは上位に位置する作品といえます。