「シューマンの指」の作者の奥泉 光氏が書いた作品です。赤川次郎氏が初期のころ書いた「三毛猫ホームズ」などが
ユーモア・ミステリーと云われましたが
これはその上の爆笑ミステリーと云えると思います。クワコーこと桑潟幸一准教授の大学での様子、ひとつの組織内での彼の生活の様子とか、むりやり顧問を任された文芸部の変人女子たちとのやり取りなどが爆笑を誘います。彼の志の低さや事なかれ主義的な生活のあり方、給与面からくる汲々とした食生活ぶりなどがもっともらしく描かれていて、世間一般が思っている大学教授のイメージが根底から覆される有り様です。「呪われた研究室」と「盗まれた手紙」、「森娘の秘密」の中篇三作が収められていますが、文芸部の面々の今どきの女子大生そのものといった生態がとてもリアルに描かれていて、彼女達に振り回されるクワコーの情けなさが自虐的でやる気のなさが更に笑いを誘います。大学内でささやかれる謎めいた話と事件。そして数名の目がある中で消えた人物。ミステリ度もしっかりした話で文芸部のひとりジンジンが解き明かす真相の意外さも楽しめます。気分がクサクサしている時などに読んでみるのをおススメします。ユーモア・ミステリーと云われましたが