北欧ミステリです。
スティーグ・ラーソン原作の「ドラゴン・タトゥーの女」以降、北欧ミステリがもてはやされている印象ですね。
まあ、面白ければどこの国のミステリでも良いのですが、ただ国が違えば文化風習が変わるので警察の捜査方法なども
日本のやり方とは大分違っていて面白いとな~と感じたり、そんな悠長な捜査の仕方で良いの?というようなことが多々あります。
この辺は海外ミステリならではのギャップというか一つのお約束というところでしょうか。
この作家は先に「三秒間の死角」という本が出ています。
「熊と踊れ」は厳格な父親に育てられた男の三兄弟がその影響により犯罪に手を染め警察と必死の攻防を繰り広げる様子が描かれています。
厳格な父といっても下層階級の暮らしをする家庭の中で、男としての意地を失くさず例え相手が強くとも逃げずに向かっていけと闘い方などを
息子たちに教える父親です。 しっかりと働いて家族を養い家庭を大事にする父親であれば、父としての言葉にも説得力があるでしょう。
しかし、酒を飲み仕事が無いことは世の中のせいにして母親を虐げる父親を見る子供の眼は怒りと畏れがない混じっています。
銀行の現金輸送車を襲い、初めての仕事としては運よく成功した彼らは歯止めが効かなくなります。
警察も派手な犯罪には世間の目が集まりますから解決には全力を尽くします。
逃げるものと追うものの構図の中で描かれる男たちの物語。
ドキュメンタリーのようなテイストで描かれた犯罪に手を染める家族の物語です。
「三秒間の死角」は潜入捜査官が麻薬組織の撲滅を任務にある組織に入り込んでいます。
長い時間をかけ組織の上層部まで入り込んだ男。 当然そのような彼の経歴は消されています。警察署内でもこのことを知っているのは
潜入捜査官として彼をスカウトした直の上司と他には数名だけです。 そんななか組織はさらに利益を上げるために刑務所をマーケットにすることに
目を付けます。安定した客がいて売る時に金が無く支払えないような相手でもそれを貸しとして組織の言いなりになる人間を増やすのは
組織にとってマイナスではありません。でっち上げた罪で彼は刑務所に入りました。 しかし以前取引の現場でトラブルにより一人の男が殺されました。
殺された男も実は潜入捜査官でしたがお互いそんなことは知らずにいたことです。 警察は捜査の過程で殺された男が潜入捜査官だったと気付きます。
そして犯人を追ううちに刑務所に入った彼に行き当たります。彼は中で対立する組織を潰し自分の組織の商売を始めようとします。
一方事件の捜査に当たっている警部が刑務所内にいる彼に接近しようとしていることに危機感を抱いた上層部は彼を切り捨てる決断をします。
潜入捜査官としての身分がバレた彼は刑務所内の組織の連中からも命を狙われます。
さて彼の運命は・・・・・・。といったお話ですが、けっこうスリリングな展開が続き飽くことなく最後まで読ませます。
ざっと荒筋だけ見るとハリウッド映画的なストーリーで、軽いノリで読み進むような感じにとれます。
でもけっこう細部にわたって説得力ある文章で書かれているので物語に引っ張られていきます。
途中で本を閉じて読むのを止めてしまうというようなことはありません。
本のタイトルもこの物語のキメの部分で、少し危ういところはありますが全体を見れば良い出来なので気にはならないでしょう。
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