Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

『ユダの窓』カーター・ディクスンの密室殺人

2014-04-21 09:22:08 | ミステリ小説
ジョン・ディクスン・カーが、カーター・ディクスン名義で書いたミステリです。
カーといえば密室ですがこの本も不可能犯罪である密室物です。閉じられた部屋に殺害された男と気を失っていた男。誰も他には部屋に
出入りしたものはいない。このようなシチュエーションで始まります。多くは裁判の法廷シーンで、被告の弁護人であるH・M卿が
検察側の追求を交わし、徐々に事件の真相に迫っていく謎解きの展開が中々上手く書かれています。

始めに派手な不可能状況をみせると最後の辻褄あわせのところで苦労することになるわけですが、この作品は最後のH・M卿が話す
謎解きの説明のところもうまく書かれ違和感や不具合もなく、トリックの面白さもあって今読んでも楽しめる古典のなかの一冊であると思います。
裁判の途中でH・M卿が話すユダの窓。どこにでもあるユダの窓。それが皆には見えないという。この言葉がとても興味を惹き最後まで
読み通す原動力になっています。いったいどういうことなのか、犯行はどう行われたのか、ユダの窓の意味が分かったときに全てが
見えてくる。そんなミステリですがストーリーテラーらしいカーの筆力で法廷シーンも中々読ませます。
トリックと着地の良さでカーの作品群のなかでは上位に位置する作品といえます。

       
                          


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