山の中の洋館。集まった大企業の一族。三年前に洋館のそばにある湖で死んだ前最高指導者の女性。その女性に育てられた有名映画監督の男が最近急死した。
雑誌記者とカメラマンの二人が洋館を訪れる。亡くなった映画監督の取材と称して。
時間が遅くなり泊っていくことを勧められて二人は泊まることになる。やがて記者は偽りで映画監督の依頼でやって来た弁護士だと話す。死んだ映画監督の遺言を公開するためであり内容を確かめるためでもあるという。
内容とは今集まっている親族の中に死んだ映画監督の父親がいるということ。 自分から名乗り出れば監督の持つ著作権などすべての遺産を相続できるというもの。
しかし、誰も名乗り出ない。 やがて夜半から降り出した雨で土砂崩れが起き麓に続くただ一つの道が通行不能となる。
親族の中の一人が「訪問者には気をつけろ」という警告文が届いていたことを明かす。 訪問者とは誰を指すのか。がけ崩れが起きる前にはもう一人関係者がやって来ていた。
そして幼い少女が窓の外に三年前に亡くなった大おばあちゃまに似た女性の姿を見たと話す。 一同が外に調べに行くと見知らぬ男の死体があった。
怪しい雰囲気と不穏な人間関係が作り出す不安。 この著者の作品にはこういったパターンで描かれるのがひとつの特徴です。
それにしても、このいかにもっていうこだわりの趣向( ´艸`) 嬉しくなりますね。 私などはここまで荒筋を読んだだけでもう読まずにはいられなくなります。
ここまで読んだだけでもう夢の中に扉を開けて二歩も三歩も足を踏み入れた状態です。 厳しい人は、それで?結末はどうなの?そんなのじゃあありきたりじゃないとか、中途半端な感じが拭えないとか
いろいろ仰います。 いいじゃないですか。すべてにパーフェクトを求めるなんて子供じみていると思います。どれもこれもハッキリさせるのではなくボンヤリした部分を残したまま終えるのもこの著者の特徴です。
読んでいる間どれだけ楽しめたかということでしょう。その意味では私はこの本はOKです。
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