Mのミステリー研究所

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「ラバー・ソウル」 ストーカー男の恋 

2013-10-13 07:58:07 | ミステリ小説
  現実社会では何かと問題のストーカー。
悲惨な事件が起き、その行動の心理が理解出来ずにいる私などはただ驚くばかりです。恐らく何事にしても「あきらめる」という概念、ピースが抜け落ちているんでしょう。
世の中、人生にはいくら望んでもどうにもならないことはあります。それらを受け入れられない人間。やはり病んでいるとしか云えないのでしょうか。

病気が原因で顔が奇形になった男。社会と隔絶し閉じこもった生活を送る男。ただ、その分時間はあり興味のあることには没頭できる。やがてある雑誌に音楽の評論を書いた文を送り編集者に認められる。
そして運命的な出会いで知り合った一人の女性。彼女が忘れられない男はすべてを知りたくて彼女の後を追い住まいまでも見つけ出してしまう。

捜査関係者の質問に答える形式で彼の独白が始まり、何が起き何があったのかが少しずつ明らかになってくる。
彼の心の内の独白と質問に答える内容で、彼の行動とその様子が綴られていく。
ピッタリと彼女の私生活に張り付き影のように付きまとう彼。

やがて起きる殺人事件。

ラストには読者の思い込みをひっくり返すドンデン返しで悲惨な出来事の終息を迎えます。

現実社会では嫌悪されることですが、ミステリの中ではこういった男の行動もストーリーの上でやむを得ないでしょう。

井上夢人 著 「ラバー・ソウル」 2013年版 このミステリーがすごい 13位の作品です。

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