Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「鬼畜の家」深木章子のミステリ

2015-01-10 19:03:45 | ミステリ小説
                                    

異常な母親とその三人の子供たちとの生活ぶりが事件の関係者へのインタビューといった形で明らかになる、そんな内容のストーリー構成です。元刑事で今は探偵を生業にしている
男が依頼を受けそれぞれの事件の関係者に会って話を聞いていくそんなスタイルですが、各人の視点で語られる内容は凄まじいもので打算以外の何ものでもない女の生き方がクローズアップされます。そして三人の子供もその母親の

影響が色濃く出た性格となりどこか歪な人間性が見えます。タイトルからも想像されますが貴志祐介のホラー小説に「黒い家」と云うものがあります。どうしてもそっちの方に意識が向きますが実は後半からグッとミステリ度の上がった内容になります。いろいろな人物に会って話を聞いてきた探偵はやがて隠れていた事件の裏側にある恐ろしい真相に行き当たります。保険金目当てで家族に手をかけていく母親。そんな風に読んでいくと良くある悪女ものだと

思ってしまいます。ところがそんな予想を見事にひっくり返します。こう書くとちょっとネタバレ気味ですが、二重に読者の思い込みをひっくり返す作者のその周到な伏線の張り方と技のキレの良さは見事です。
恐ろしい女とその子供たちの物語が後半からはまるでその様子が変わっていくところが読ませます。真梨幸子の「殺人鬼フジコの衝動」も思い起こしますが、あれとは又違った仕掛けであり緻密な計算が施された内容で

探偵が各人に会って話を聞いた事柄から導き出したその答えに新鮮な驚きを感じるでしょう。

                


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1 コメント

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女流推理小説家 (屋根裏人のワイコマです)
2015-01-13 20:22:31
今年もどうぞ宜しくお願いします
日本では まだまだ 女性の推理作家は
少ないですね・・
深木さんも真梨さんも知らない作家でした
いつも勉強になります こんど買ってみます
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