渋いっ!僕らのTokyo Jazz Cruising♪~今夜も出航!~

Live cafe & bar 池袋Apple Jump(アップルジャンプ)店主の日誌

Robert Lakatos from Budapest Live at Body & Soul

2008年07月25日 | ジャズ・ライブ
停泊地)青山Body & Soul(08.7/22)
メインアーティスト)
ロバート・ラカトシュ(pf) トーマス・スタベノワ(b) クラウス・ヴァイス(ds)

本日は、当ブログでは珍しく海外ミュージシャンの紹介です。

ハンガリーから来たラカトシュさんは、大坂の澤野工房から3枚のピアノトリオをリリースしています。
澤野工房については、ジャズ界にはマニアックなファンが沢山いるのでこちらでは詳しくは触れません。
一応、澤野さんの今までのインタビューとかから簡単に説明すると、大坂の通天閣の一角に、老舗の下駄屋さんがあって、そこの4代目社長澤野 由明さんが興した、ジャズレーベルのことですね。

当初は、日本の大手レコード会社が取り上げない、未発掘のヨーロッパのジャズを主に取り上げて発売していました。ところがいろいろ事情を知ってくると、録音するチャンスに恵まれない、大変才能のあるピアニストが沢山いることを知りました。まあ、ヨーロッパはクラシック音楽の本家ですからね。
彼らはリーダーアルバムを出すチャンスがありません。ジャズの主流は管楽器入りの編成です。
ところが日本では、ピアノジャズがとても人気があります。日本人の人気投票でも上位に出てくる、小曽根真、上原ひろみ、山中千尋など、皆さんピアニストですね。
と言う事情で、澤野から、無名の良質なピアノトリオのアルバムが次々とリリースされることになった訳です。

私が頻繁に出没するHMV渋谷店のジャズフロアーには、澤野コーナーが常設されています。なので時々ここで試聴機をチェックします。結構真剣勝負ですよ。何しろ名前を知らないし、事前の情報が全くないので、出てくる音だけが判断基準となります。
ここで去年購入して大当たりだったのが、今回ジャケットを掲載したラカトシュの『NEVER LET ME GO』です。このアルバムの最後を飾るスタンダードの「You are my everything」、絶品ですよ。この一曲で購入を決めました。

そしてこの美しいピアノのライブをウチの店で出来ないかしら、と考えた人がいました。その方が、青山Body & Soulの京子ママさんです。

開演30分前に着いたのに、もうほぼ満席状態。この店のスケジュール表に載った以外は、ほとんど宣伝らしきことをしてないのに予約で完売だったそうです。
皆さん筋金入りのピアノジャズファンなんでしょうか。そして驚くべきことに、このスタンダード中心の渋い編成の日に女性客が4割近くいます。天才少年でも、貴公子でも、イケメンでも、つけめんでもないのに!(すいません!今日は全くジョークが浮かばないので、ここで無理やり入れました!)

さあ、このラカトシュ・トリオが登場して、スタンダードの「You and night and music」でスタート。それから、「Never let me go」や「Whisper not」といったアルバム収録曲中心の編成が続きます。
このトリオ、ベースとドラムはドイツ人です。そして、30代前半のラカトシュさんのひと世代年配のミュージシャンです。なので三位一体のトリオという感じではなく、若くて、天才肌で、ちょっとシャイなラカトシュさんを2人が盛り立てると言う感じで進んで行きます。
MCもドラマーのクラウス・ヴァイスさんがされてました。ラカトシュさんは、英語がほとんど話せないから、と言うことです。

ラカトシュさんのピアノ、とても好感が持てました。メロディアスで哀愁を帯びたフレーズが満載で、東欧の方の音楽に対する美意識が、きっと日本人のそれととても共通するところがあるのかなと感じました。
一部の最後はパーカーの「Moose the Mooche」。そして二部の最初もパーカーのブルース。この二つのビバップチューンも軽快にグルーブしてました。
きっとビバップ集を出しても面白いものが出来るんじゃないかな、と思いました。

そして本日の一番はなんと言っても、名曲「エスターテ」。この美しくも内省的なスローボッサは、ラカトシュさんのピアノスタイルに一番似合います。
会場のあちこちからため息が漏れてましたね。

そして最後は、オーネット・コールマンの「THE BLESSING」で締めくくり。

このラカトシュさん、本国では、有名なフランツ・リスト室内楽団と一緒にバッハやバルトークの演奏会を行っているそうです。そして、世界中に点在するジプシー音楽の録音もする計画があるそうです。
クラシック、ジャズ、ジプシー音楽と、何か計り知れない懐の深さをもったミュージシャンですね。今後も注目していきたいです。

しかしまあ、こんなピアニストがヨーロッパではごろごろいて、ホテルのラウンジやキャンプ場の片隅で、支配人から、「お客様の会話の邪魔にならない程度の音量で、映画音楽のような軽いものを弾いて下さい。」などと注文つけられながら生計を立てているのが本当だとしたら、恐るべしですね!

がんばれ、澤野工房!







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