信濃・駒場城 堀切群が見どころ 東海古城研究会の見学会で訪れました。

駒場城は長野県下伊那郡阿智村にあります。　５月１９日の東海古城研究会の日帰りバス見学会で訪れました。
　好天に恵まれ、気温がぐんぐん上がり汗を拭きふきの山城見学となりました。当日は駒場城と飯田市の西平城を訪れましたが、まずは駒場城の見学を記載します。

駒場城は、中央高速から「こまんば城址」の大きな看板が見えることから、場所についてはご存知の方も多いと思います。看板の文字は以前は「信玄のろし台」となっていましたが近年「こまんば城址」に変わりました。

見学会の資料によれば、駒場城の築城・廃城時期、城主は不詳とされますが、地理的に見て飯田の松尾小笠原氏配下の国人が想定されるとのこと。


駒場城　汗を拭きふき歩いて見学に向かいます
歩いて登ったので見ることができる遺構がありました。


駒場城　車の道で分断された竪堀の一つ。ほかに２条の竪堀を確認できました
駒場城は公園化され、車の道が付けられたので小型の乗用車なら城域まで車で行けますが、見学会は大型バスなので山下から歩きました。
　歩いて登ることによって、車で通過すると気が付かない、車の道で分断された竪堀を３条見ることができました。


駒場城　②から①の主郭を目指しました。 主郭西側に５条の堀切遺構がしっかり残っていました。
地図上で見ると、西側は山が続いていますが、尾根筋には５条の堀切を掘って、防御を厳重に固めています。往時はこの山々を越えて敵が攻撃してくることが想定されたということでしょうか？
　主郭①の東側には４条の堀切があるとされますが、一部は樹木に埋もれて確認が困難となっていました。
※西側の城山は駒場城よりも高所にあり、頂上は平坦だが遺構はないとされる説と、何らかの遺構があった説が有るようです。


駒場城　主郭東側 下の堀切、土橋、竪堀 一部改変があるようだ
主郭東側の尾根筋の遺構は主郭の公園化によって、遊歩道が軽トラが通れる幅で作られているようで、この部分の土橋は、往時のモノと異なっているように見えました。ひょっとすると往時は土橋がなく堀切で断ち切られていたかもしれないと想像しました。


駒場城　主郭は公園化され、遊具が設置されている
他所の城址でも見かける光景だが、昭和の一時期に「流行った」公園化で、遺構の改変が行われている姿です。今はだれも使うことのない遊具が寂しげですね。
　駒場城の場合は、公園化の前に耕作地となり桑畑があったそうですので、公園化による改変とは言い切れないようです。主郭周辺の斜面には桑畑の時の地形(段々畑)も残っているので、今見るとまるで帯曲輪のように見えます。往時の帯曲輪が残っていたとしても、区別が難しそうでした。


駒場城 見どころは主郭西側の５条の堀切遺構です
主郭でブランコや滑り台をみて、ちょっと残念な思いをしましたが、そこから西へ進むと、尾根を断ち切る大きな堀切が次々に現れました。
　上幅17ｍの幅広で深い堀切をはじめとして5条の堀切は年月の風化はあるものの、往時の姿をとどめていました。汗を拭きふき登ってきた甲斐があったと思いました。堀切は年月で埋まっていますが、堀の法面の角度などから想像すると現況よりも2ｍ～3ｍ深かったように見えました。幅といい深さといい、厳重な堀切群でした。

見学会は午前中に駒場城を見学し、昼食を挟んで午後は飯田市の西平城に向かいます。