昭和38(1963)年の夏、我々家族は土居から当地に引っ越してきた。
あ、今年で丸60年経つんだね。
伊予三島の貧農の出である父は、様々な仕事を経て、自分で商売をするようになり、まずは土居に転居したが、そこでは発展性がないと、数年後にまた移ったのである。
そこでまずは手始めとして河南牛乳の販売店を始める。
やがてそれは何社かが合併してらくれん牛乳と成るのだが、そんな関係で、私は小学3年の頃からずっと牛乳配達をしている。
東京で暮らした5年を除いて。
計算すれば、67-9-5=53年か。
ただ、今は配達先がたったの4軒だけ。
いつ辞めてもいいと思ってはいるのだが、らくれん牛乳さんが、それでも配送してくれるのと、残ったそのお得意さんがみんな30年以上のお付き合いなので、「やめます」と言い出せないまま続けている。
それだけの歴史があれば、思い出もたくさんあるが、それはまた別の機会に。
そんなことから、今朝も5時に配達を始める。
外は快晴。
夏場は、これが厄介。
何故ならば、2軒目から3軒目の移動距離が1kmほどあるのだが、これが東に向いての、ほぼ一本道で、真正面に朝日がギラギラ輝いているのだ。
眩しいことこの上ない。
なので、最近はサングラスを掛けて出るのだが、ふとこう思った『反対にまわったらえんやん』と。
で今朝、そいつを実行に移してみた。
そこで気付いたこと。
元のルートの東進する距離よりは短いものの、反対ルートだって、結構東進しなければならない。
そりゃそうだ、ルートは大きな円になってるのだから、行けば戻るの理(ことわり)、西進後は東進することになる。
ただそれが、反対ルートの場合は一本道ではないという違いだけのこと。
少しはマシだが、我ながらおめでたい。
それはそれとて、今朝は新緑の匂いがした。
五月晴れ特有の、あの清々しい匂いが私は好きだ。
何故なら、五月は、私の産まれた月だから。
あと九日で、68回目の誕生日がやってくる。
もう観念しなきゃな。
そんなことを思いながら、今日も今日とて、カブを走らせる・・・
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