宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

ビューティフル・マインド

2005-10-15 11:48:31 | 映画のこと



94年ノーベル経済学賞を受賞した実在の人物、ジョン・ナッシュの半生を描いたドラマ。

数学の天才が、国家的謀略の一歯車として利用されるという筋立てに、ありうる事だと、
その進行具合を固唾を飲んで観ていた。

やがてソ連の刺客が彼を抹殺しにやって来た。
(まだ世界二大勢力冷戦時代。)
だが、彼の本当の姿を打ち明けるわけにはいかないから、一人悶々として毎日を送る。
最愛の妻にさえ、それは許されない。

ついに刺客は彼の講演会場まで押し掛けてきた。
彼を精神異常者として連れ去ろうとするのである。

そして、病院という牢獄に入れられた。
そこで、妻までもを丸め込もうとしている。

毎日廃人にするためのショック療法を課せられて、思考を混濁させる薬を飲まされる。

時間をかけて、抹殺しようとしているのだ。

妻はその事に気づいてくれない。

どうすればこの蟻地獄から抜け出せるだろうか。

ここまでは、よくある国家的謀略組織が舞台のドラマだと思って観ていた。
いずれ、彼は天性の機知を発揮してこの難局を乗り切るんだと。

ところが、どうも様子が違う。

それらの出来事や登場人物は存在しないという方向に流れる。

いや、これこそが、敵の謀略なんだから騙されるな!

ところが、大学時代の寮のルームメートが端から存在しないことが判明。
彼は一人部屋だったのだ。

国家の秘密組織に定期的に届けていた報告書も、ただの空き家のポストに
勝手に投函していたものだということも判明する。

「え?」

主人公と共に疑似体験をしていた私も混乱してしまった。

精神分裂症とはこういうことなんだ。
元来存在しない筈の人物が見える。
妄想を超えた幻覚。

その幻覚と現実との区別がつかない自分。
こんな恐ろしいことがあろうか。

それを実にうまく描いたところに感服。
見事に騙された。

結局、それらを少しずつ克服しつつ研究を重ねた結果のノーベル賞受賞のシーンで
このドラマは終わる。

吃驚するのは、主演のラッセル・クロウの老けメイク。
実に自然に老人になっている。

共演者のジェニファー・コネリーは、大河ドラマの老けメイク並で、肌つやの
いい婆さんなのが象徴的(笑)・・・


ビューティフル・マインド

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