
94年ノーベル経済学賞を受賞した実在の人物、ジョン・ナッシュの半生を描いたドラマ。
数学の天才が、国家的謀略の一歯車として利用されるという筋立てに、ありうる事だと、
その進行具合を固唾を飲んで観ていた。
やがてソ連の刺客が彼を抹殺しにやって来た。
(まだ世界二大勢力冷戦時代。)
だが、彼の本当の姿を打ち明けるわけにはいかないから、一人悶々として毎日を送る。
最愛の妻にさえ、それは許されない。
ついに刺客は彼の講演会場まで押し掛けてきた。
彼を精神異常者として連れ去ろうとするのである。
そして、病院という牢獄に入れられた。
そこで、妻までもを丸め込もうとしている。
毎日廃人にするためのショック療法を課せられて、思考を混濁させる薬を飲まされる。
時間をかけて、抹殺しようとしているのだ。
妻はその事に気づいてくれない。
どうすればこの蟻地獄から抜け出せるだろうか。
ここまでは、よくある国家的謀略組織が舞台のドラマだと思って観ていた。
いずれ、彼は天性の機知を発揮してこの難局を乗り切るんだと。
ところが、どうも様子が違う。
それらの出来事や登場人物は存在しないという方向に流れる。
いや、これこそが、敵の謀略なんだから騙されるな!
ところが、大学時代の寮のルームメートが端から存在しないことが判明。
彼は一人部屋だったのだ。
国家の秘密組織に定期的に届けていた報告書も、ただの空き家のポストに
勝手に投函していたものだということも判明する。
「え?」
主人公と共に疑似体験をしていた私も混乱してしまった。
精神分裂症とはこういうことなんだ。
元来存在しない筈の人物が見える。
妄想を超えた幻覚。
その幻覚と現実との区別がつかない自分。
こんな恐ろしいことがあろうか。
それを実にうまく描いたところに感服。
見事に騙された。
結局、それらを少しずつ克服しつつ研究を重ねた結果のノーベル賞受賞のシーンで
このドラマは終わる。
吃驚するのは、主演のラッセル・クロウの老けメイク。
実に自然に老人になっている。
共演者のジェニファー・コネリーは、大河ドラマの老けメイク並で、肌つやの
いい婆さんなのが象徴的(笑)・・・
![]() | ビューティフル・マインドユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパンこのアイテムの詳細を見る |
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます