宝島のチュー太郎

酒屋なのだが、迷バーテンダーでもある、
燗酒大好きオヤジの妄想的随想録

戦争と家族と誇り

2005-11-02 10:26:46 | 映画のこと





昨日は定休日。
久しぶりに映画を観た。

「ライフ・イズ・ビューティフル」というイタリア映画。
異様に陽気な男が、「姫さま」と慕う一目惚れの女性をめとるところまでが
第一幕、そこから第二次大戦、ナチス、ユダヤという構図が展開される。

可愛い男児を授かって幸せに暮らしていた男の家族をナチが引き裂こうとする。
ついに男と、息子はナチの強制収容所へ拉致されることになる。
ユダヤではない妻は、自ら志願してその同じ列車に乗る。

いや、あらすじの説明は必要ない。
ここから、男の、その尋常ではない不屈の精神が露わになる。
息子を不安にさせまいと、それらの現象が全てゲームなんだと嘘をつく。
どんなに絶望的な状況下におかれても、最大限の努力をして家族を守ろうと、
励まそうとするその姿に、「誇り」すら感じる。

いつもとぼけてて、いい加減な言動の男。
でも、自分の大切なものを守るという執念は鬼気迫るものがある。
それも、その険しい部分はおくびにも出さない。

もう少しで戦争が終わる。
解放される。
息子はうまく隠した。
あとは愛妻がガス室送りになるのを止めるだけ。

そこで、自分もどこかに身を潜めれば、生き延びられた筈だ。
でも、男は危険を顧みず、収容所内を妻を捜して駆けずり回る。

結局、男は見つかって銃殺される。
そして、妻と息子は助かる。

妻が自宅で待ってたら、男は死なずにすんだのに。
そういうことではないか・・・

「絶対に諦めない、強い心」を学んだ。

ライフ・イズ・ビューティフル

角川エンタテインメント

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その夜、何気なく点けたTVで、「火垂るの墓」というドラマが始まった。
以前、何度かアニメでちらっとだけ観たことがあるが、詳しいことは何も知らない。

読みたい本もあるし、観ないでおこうと思うのに、冒頭の部分を観始めてしまった。
結局3時間物を全部観てしまった。
初めから3時間あると判っていたら、読書を選択しただろうと思う(笑)

原作が野坂昭如だとは全然知らなかった。
悲しいアニメが有名だが、このドラマはそれを別の角度から捉えたものなのでは
ないだろうか。
アニメをきちっと観てないからなんとも言えないが。
火垂るの墓

ワーナー・ホーム・ビデオ

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というのは、浮浪児となって死んでいく悲運の兄妹の悲哀という一本の筋に、
そうは言っても、それを助けることの出来ない切羽詰まった状況下に置かれた
人間の歯がゆさ、理不尽さに対する怒りというもう一本の大きな筋が絡まり
あった物語となっているのではないかと思うからである。

「これが戦争だ」ということなんだと思う。

奇しくも、舞台は違いこそすれ、同時代の、それも、「戦争」という理不尽さ
に光を当てた物語二本に出会った。

そして、それに共通するもうひとつのテーマは、「諦めない。生きる。」という
ことだったのではないかと感じている。


原作を読めば、ドラマがそれをどう脚色したかが判るだろう・・・

アメリカひじき・火垂るの墓

新潮社

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4 コメント

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トラックバック (kobitopenguin)
2005-11-02 18:54:25
初めまして。TBありがとうございます。

TVドラマ「火垂るの墓」は、長かったですね。アニメ版は1時間半なのに。確かに、諦めず生きるというのがテーマになってましたね。
返信する
火垂るの墓 (アゲハ蝶)
2005-11-02 20:01:01
TBありがとうございます。

「ライフ・イズ・ビューティフル」も観ました。同じように

「戦場のピアニスト」もよかったです。戦時下という、事態に

さらされても、人はあんなに強く生き延びられるって

人間の素晴らしさを感じました。



返信する
kobitopenguinさんへ (チュー太郎)
2005-11-03 08:06:06
そうなんです。

3時間もとは思っていませんでした。

あれからもう少し考えてみました。

すると、「他者への愛」というファクターも浮かんできました。
返信する
アゲハ蝶さんへ (チュー太郎)
2005-11-03 08:09:52
私も、「戦場のピアニスト」も観ました。

あれも、そうですが、結局「生きる」ってなんなんだろうってとこに帰結するように思います。

そして、それが判れば、多分いつ死んでもいいんじゃないかとも・・・
返信する

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