わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

The Bling Ring-ブリングリング

2013-12-04 | 映画・ドラマ・本
 ガッチャマンの実写化の予告フィルムを見て、ものすご~く脱力した私ですが、今度は「ルパンIII世」に「進撃の巨人」を実写化ですって。チャレンジャーはほどほどにしておいて欲しい…orz

 なんだか、やっと一息つけそうなので、図書館に行ってDVDをいっぱい借りてきました。今夜は早速、「The Bling Ring(邦題:ブリングリング)」を観ました。公式サイトはこちら

 2008年に実際に起きた、十代のグループが高級住宅地もハリウッドヒルズを中心に、パリス・ヒルトン、オーランド・ブルーム、リンゼイ・ローハンなどのスターの家を荒らしまくり、被害額が300万ドルに上がったという実際の事件を基にしています。ロスアンゼルスに引っ越してきたばかりの頃の大ニュースで、有名人の自宅の情報がそんなにも簡単に入手でき侵入できる(警報システムとか無いの?)ことも驚きでしたが、犯人が捕まってみれば十代の女の子たちと男の子一人だったというセンセーショナルな事件だったので、私もよく覚えています。監督は、本人がスーパー・セレブなソフィア・コッポラ。

 高校を退学になった生徒を引き受けるインディアン・ヒルズ高校(実在する高校です)に転校してきたマークは、唯一優しくしてくれたレベッカと仲良くなります。レベッカはどうも道徳観念が妙な娘で、駐車してある車から物を盗んだり、留守宅で空き巣したり、車を盗むのを何と思っていない様子。盗んだお金でクラブで豪遊していると、ニューエイジにハマっている母親の下でホームスクールをしているニッキーとエミリー姉妹と養女のサムの3人と仲良くなります。

 ある日、パリス・ヒルトンが今夜ラスベガスでパーティーに出席するんだって、と、言ったマークに、レイチェルは、じゃ、今夜は留守ってことね、パリスの家を調べてよ、と。で、二人はまんまと侵入して中で写真を撮り、ニッキー達に自慢したところ、ニッキーは「盗みに行きたいわ!」と言い出す。これに成功した彼女たちは、調子に乗って次々とセレブの家に忍び込み、ブランド品を盗んではFaceBookに写真を投稿…って、お話。

 窃盗団側もおバカなら、まんまと簡単に家に入られちゃう有名人側もおバカなんだけど、この映画ではおバカ・キャラで一世を風靡したパリス・ヒルトンが、自宅をロケ地に開放しているだけではなく、DVD特典で自宅の中を自らツアーし、事件について語っています。久しぶりの露出機会だもんね。今じゃてっきり見なくなったけど、この事件の頃は何にでも出まくっていた時期。彼女は、このグループに6回も空き巣に入られているのに、6回目にプロが関わって、宝石類をごっそり盗まれるまで物が盗まれているのに気付かなかったってんだから、一体どれだけ物があるんだ?と。被害総額は彼女だけで約2億円なのだそうで、ロサンゼルス地域じゃ最低時給8ドルだってのに、若い女の子の家に無造作に2億円分の宝石類が置いてあるって、やっぱ、この国ダメでしょ。

 予告等でも一番知名度の高いエマ・ワトソンが前面に押し出されていますが、主人公は黒一点(?)のマークかな。マーク役のイズラエル・ブルサールマークは、役中でも冴えないルックスがネックで、実際モサいのに、日本の紹介サイトでは美少年扱いになってたのは違和感あった。ともあれ「かな?」というのは、どの子に焦点を当てているかわからない。映画自体が淡々と彼らの行動を追っているだけで、合間に事件発覚後の彼らのインタビューの様子が入るんだけど、ここをもっと突っ込んで欲しかった。

 もうひとつのDVD特典は、本当のハリウッドヒルズ窃盗団事件のドキュメントですが、この映画が丁寧に事実をなぞっていることが判ります。なぜか部屋の真ん中にストリップダンス用のポールのある、実に悪趣味なパルス・ヒルトン宅のクラブ・ルームで主人公たちがすっかりくつろいでダンスするシーンなんて、監視カメラに残っていた軌跡をそのまま役者に繰り返させていて、わざわざフィクション映画にする意味が謎。

 空き巣で窃盗を繰り返しながらも「悪いことだとは思っていなかった」と、盗品と一緒に写真をとってFaceBookに載せちゃう心理への突っ込みもない。日本でも、結果を全く考えていないのだろう写真を得意気に載せちゃう若者が話題になっていますが、目立つためには周りの迷惑など全く考えずに突拍子もない事をしてソーシャルメディアで発信し、そして、それをおだて、煽るギャラリーの存在。

 昨今はリベンジポルノが問題になっていますが、プライベートな写真を撮って、不用意に送ってしまうのも似たような心理ではないかと思う。一度、ネット上に上げられた写真や情報は、いくら当局や関係者が削除して回っても、完全に消去することは不可能です。それなのに、いや多分、だからこそ、自分の武勇伝(?)を世界中に発信し、自慢する。この軽率さと倫理観の欠如の背景にあるのは何かを少しでも追求してくれたら、きっと面白かったと思う。

 これ、実際のカリフォルニアの高校生である息子たち、特に上息子と一緒に観たいんだけど、全く興味ないと言ってみてくれない。「ウォール・フラワー」の時にも思ったけど、エマ・ワトソンは高校生を演じるには、ちょっと歳を取り過ぎたんじゃないかなぁ。

 「ウォール・フラワー」の原作「The Perks of Being a Wallflower」は、今年大学を卒業したばかりの姪をして「人生変わった」という本で、クリスマスに上息子にプレゼントしてくれたんだけど、始めの数ページで飽きた上息子は映画を観てお茶を濁したのでした。彼的には、パーティーでラリった主人公が「なんでマーチングバンドの連中がレターマン・ジャケットを貰えるんだ。マーチング・バンドはスポーツじゃないだろ」って台詞にムカついた、としか感想が無かったそうな。そして、いつも週末は友人宅か家でゲームばっかしてる高校生達の母である私は、実際に毎晩パーティー三昧で酒飲んで麻薬やってる高校生はいるのだろうか、という点が大いに気になる。作り方では面白かったろうけど、脚本が弱かったのかな…

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2 コメント

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若者の生態 (iina)
2014-01-22 09:32:35

反省しない若者たちを描いた映画でした。(^^ゞ

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linaさん (わに)
2014-01-22 10:45:24
ブログ拝見しました。3人だけとは寂しいwww
ほんとにねぇ、この子たち、どんな大人になるんでしょ?と、おばさんは心配してしまいました。
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