ブタクサは明治時代の帰化植物、このオオブタクサは戦後の帰化植物だという。
オオブタクサ、漢字で表記すれば大豚草ということになる。「大豚の草」ではなく「大きい豚草」である、もちろん。クワモドキという別名もある。
いつからだろう、千曲川の河川敷でも大いに増えている。大きいものでは草丈3メートルを越えるので威圧感さえある。
例えば講談社の新日本大歳時記は、ブタクサを夏の季語としている。概ね8月に花が咲くので、開花期によっているのだろう。この写真は7月初め。季語で言えば「夏草」とか「草茂る」が相応しいところである。
さてこの写真を見ていただこう。この葉はだいぶ虫に食われている。 良く見ていただくと食害している虫が見えると思う。拙者は接写レンズを持っていないので拡大写真をお示しできないが、この虫はブタクサハムシというのだそうである。ブタクサの葉を食うのがブタクサハムシ。ある意味びっくりである。
薔薇の木に薔薇の花咲く何事の不思議なけれど
という歌があるが、ブタクサハムシがブタクサの葉を食うのも「不思議なき」話だ。実にごもっとも。
しかし話は単純でない。前述のようにブタクサは明治時代、オオブタクサは戦後まもなくやって来たのだが、これらを食べるブタクサハムシは1990年代に渡って来たというのだ。この虫は日本にブタクサが繁殖していることを知ってやって来たのだろうか?
日本へ帰化したブタクサが景気よくやっとるという噂話を聞いて追ってきたのか。あるいはそんな話に騙されて連れてこられたのだろうか。私の頭の中では「満州の花嫁」とか、訳の分からぬ言葉が明滅する。
私は何十年もアレルギー鼻炎に悩まされている。スギ花粉には全く反応せず晩夏から秋がアレルギーシーズンなので、ブタクサは不倶戴天とも言うべき存在なんである。ブタクサハムシに声援を送りたいところだが、この写真でも分かるように、彼らはブタクサを食い尽くしたり枯らしたりはしない。ちょんちょんとつまみ食いしながら共存しているように見える。