日本国民を一喜一憂させたSTAP細胞騒動が決着した。
理化学研究所は12月19日、検証実験の結果、STAP現象を確認できず、検証実験を打ち切ると発表した。この検証作業には小保方晴子氏も加わっており、これが不成功に終わったことで、STAP細胞の存在はともかく、彼女の研究が嘘で固められた虚構であったことが明らかになった。発表の当初からこの研究には浮ついたところがあり、それを見抜けなかったことが慙愧に堪えない。
小保方晴子氏からは理化学研究所に退職願が出され、12月21日付けで退職するという。退職に際して、彼女は「予想をはるかに超えた制約の中での作業となり、細かな条件を検討できなかった事などが悔やまれますが、与えられた環境の中では魂の限界まで取り組み、今はただ疲れ切り、このような結果に留まってしまったことに大変困惑しております。」と述べている。
このコメントを読むと、小保方さんという女性がどういう性格の持ち主なのか、戸惑いを感じる。事件の真相は彼女が一番よく知っていると思われるが、かつての記者会見において「STAP細胞はあります」、「これまで200回以上つくりました」と発言し、今日まで頑張り通してきた彼女の神経は通常の日本人を超越しており、異常であると言わざるを得ない。
そして、理化学研究所の対応は更に不可解である。理研の代表である野依良治理事長のコメントがふるっている。
「STAP論文が公表されてからこの10カ月間余り、小保方晴子氏にはさまざまな心労が重なってきたことと思います。このたび退職願いが提出されましたが、これ以上心の負担が増すことを懸念し、本人の意志を尊重することとしました。前途ある若者なので、前向きに新しい人生を歩まれることを期待します。」
これでは、小保方晴子氏が理不尽な圧力を受け、自ら退職願を提出せざるを得なかったと言わんばかりである。彼女の退職は、依願退職ではなく、懲戒免職が妥当である。
今回のSTAP細胞事件は、単に理化学研究所の問題ではない。やや大げさな表現であるが、日本国および日本人の名誉に関する事件である。ほとんどの日本人が今回の事件を「恥ずかしい」と考えているはずであり、世界中にばらまかれたこの事件の経過を外国人に何と説明してよいのか、考えただけでも身の毛がよだつ。
STAP細胞事件によって地に落ちた日本国および日本人の名誉を回復するには、相当の期間と地道な努力を要する。理化学研究所は全組織を挙げて国民に謝罪すべきであり、理事長のコメントから窺える理研の今回の事件に対する認識は我々日本人の気持ちを逆撫でするものである。
彼女の上司であった笹井芳樹氏は、今回の事件に遭い、死をもって責任を果たした。痛ましいことであり、死者に対しては、これ以上何も言う必要がない。しかし、残っている理事長以下の理研幹部は、どのような形で責任を全うするのか、今後の動向を注視したい。