市ヶ谷日記

喜寿を超えた老人です。日々感じたことを、過去のことも含めて、書き記しておこうと思います。

消費税率は「先ず10%に引き上げ、景気が下向けば8%に戻す」の方針で

2014-11-05 | 独吟
 日本の財政は危機的状況にある。家庭に例えれば、年間所得の15倍を超える借金を抱えながら、日々の生計費を切り詰められず、その40%余を借金で賄っている状況である(末尾の「平成26年度予算」を参照)。誰が考えても異常であり、何とかしなければならない。
 野田前総理大臣は、こうした状況の解消を目指して、消費税率の引上げを断行した。近年、稀に見る立派な総理大臣であったと言える。過去において、大平、竹下、細川、橋本等の総理大臣が消費増税にかかわったために職を辞す羽目に陥ったという事跡を、十分に承知したうえでの決断であったからである。
 しかしながら、法律に定められている来年10月の消費税率引上げについては、これを見送るべきだという慎重論が勢いを増している。アベノミクス効果の衰えが見え始め、消費増税が景気の下振れを招くことを懸念してのことである。
 消費税率引上げが経済に悪い影響を与えるのは初めから分かっていたことである。かつては、消費増税のマイナスを補う目的で、所得税と法人税を先行して減税する試みがなされたことがある。所得税、法人税の減税はすんなり実施されたが、消費税率の引上げは景気状況を理由に立ち消えになった。政治家の多くは、国民負担の縮小には賛成、増大には反対であり、財政健全化というそもそもの目標には見て見ぬふりをするのである。
 最近、政府首脳や日銀総裁は「消費税率引上げに伴うマイナスは政策により何とかなる。しかし、引上げをしないことによる悪影響はこれを避ける方法がない」と、脅しとも取れる警鐘を鳴らしている。ただ、こうした脅しもだんだん効き目が薄くなり、今では消費税率引上げを延期すべきであるという声の方が大きくなっている。
 そこで、次のことを提案したい。
  (1)来年10月には、消費税率を法定どおり10%に引き上げる、
  (2)予想に反して経済情勢が悪化した場合には、旧の8%に戻す、
のである。景気の腰折れを心配して消費税率引上げを見送るのではなく、景気が本当に悪くなったことが明らかになった段階で税率を8%に戻すのである。消費税率の引下げは、引上げと違い、何時でも、如何なる抵抗も受けずに、実行することができる。
 このような考えに対しては、「朝令暮改のそしりを受ける」、「政府の信用を損なう愚挙である」といった反対意見が沸き上がるのは必至である。しかし、法律で決められた消費税率引上げをしないことも朝令暮改であり、50歩100歩である。どっちもどっちであるとするならば、日本経済の着実な成長を損なわずに、消費税率を引き上げ財政健全化に資することが少しでも期待できる以上、先ず消費増税を行い、景気の動向を見定めるのも善い策ではないかと考える。
(参考)平成26年度予算
    歳出 96兆円
    歳入 租税収入 50兆円、国債収入(借金)41兆円、その他 5兆円 
    国債残高 780兆円(平成26年度末見込み)


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