互換性とは「置き換えても問題なく使える」という意味らしい。主人公は準大手飲料メーカー・シガビオの御曹司、志賀成功(なりとし)。彼はゴルフコンペの夜に泥酔して何者かによって別荘に監禁された。取締役就任と、意中の女性・山科早恵里とのデートを約束し交際を目前にしていたのだが。半年後、絶望の中で解放された成功が会社に行くと、退職扱いにされていて社内の状況は一変し、かつての彼のポストには突如現れた異母兄・実行(さねゆき)が入れ替わっていた。そして実行は早恵里にも近付こうとしている。「奪われたものは、奪い返さなければ」「仕事は作るか奪うかだ」、「与えられたもので満足していたら奪われた時に何も残らない」、「自分の力で地位を築いて替えの利かない人間にならなきゃ駄目なんだ」と、仕事に奮起する。成功は、事件の真相と自らの復権をかけて奔走する・・・。異母兄弟がビジネスと恋で火花を散らすエンタメサバイバルレース小説。監禁ミステリーかと読み始めたがビジネス小説のような恋愛小説のような主人公にあまり魅力を感じなかったがハッキリ物事を言う伴内星奈が良かった。「心から謝ってる人は許してあげなさい。それを許さないなら、あなた自身、一生引きずっていく覚悟が必要なのよ」(P152)
2023年12月水鈴社刊
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