読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

薬丸岳著「最後の祈り」

2024-11-19 | や・ら・わ行
東京に住む牧師の保阪宗佑は、娘を暴漢に殺された。妊娠中だった娘を含む四人を惨殺し、死刑判決に「サンキュー」と高笑いした犯人石原亮平。無償の千葉刑務所の教誨師であった宗佑は、石原受刑者が入る確定死刑囚の東京拘置所で精神的救済をする教誨師として犯人と対面できないかと模索し、ついに希望を叶える。今までは人を救うために祈ってきたのに、復讐のために犯人を地獄へ突き落としたい。煩悶する宗佑と、罪の意識のかけらもない犯人。死刑執行の日が迫るなか、二人の対話が始まる。「死刑になりたいから人を殺した」「誰でもいいから人を殺したかった」世間で無敵の人と呼ばれる凶悪犯には心がないのか動機なき殺人の闇に迫る、重厚な人間ドラマです。大変重たいテーマの作品です。「罪を憎んで人を憎まず」、実際に愛する人を殺されたら、そうすることはできるのか? この究極の問いを突き付けられた主人公。偶然宗佑の企みに気付いた拘置所の刑務官小泉の視点と死刑囚の視点でその葛藤も描かれ死刑執行まで切なさと怒りと・・・一気に読まされました。
2023年4月KADOKAWA刊


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